「なんか最近、絵を描くのがつらくなってきた気がする。」
そんな気持ちを、あなたは一度でも感じたことはありませんか。
以前は楽しかったのに、
うまく描けない日が続いたり、
SNSで上手な作品を見るたびに、
「自分には向いていないのかもしれない」
そんな考えが頭をよぎってしまう…。
でも、それはあなただけではありません。
絵を描き続けてきた多くの人が、
何度も同じ場所で立ち止まっています。
もちろん、私も幾度も幾度もつまづき、
いまだに迷宮の中にいるようです。
こんにちは。画家のマキノ ロランです。
私は、水彩画初心者の方の悩みに寄り添う、
自称「心の優しい画家」です。
透明水彩初心者のために、
水彩画の魅力を伝える連載を続けています。

…画家ロランよ、悩むなかれ。それでも日は昇る!
この記事では、そんな悩みを抱えた時に役立つように、
絵を描く技術の話よりも先に、
「絵と長く付き合うための考え方」を
幾つかお話ししていきたいと思っています。
もし今、筆を持つこと自体が少し重たく感じているなら、
この記事は、そんなあなたのためのものです。
少しでも共感をいただき、お役に立てたら嬉しく思います。
【この記事でわかること】
・絵を描くのがつらくなってしまう本当の原因
・他人と比べずに自分のペースで描くコツ
・「才能がない」と感じた時の考え方
Contents
🌷絵を描くのがつらい原因①:SNSで他人と比べすぎている

絵が好きなみなさん、
自分も絵を描きたいと思って、
SNSを参考にしてみることはありませんか?
すると、上手な絵や完成度の高い動画が
次々と流れて来て、
目移りして困ることはありませんか?
特に最近は、
Instagram や YouTube で
「短時間で完成する絵」や
「一気に上達したように見える動画」
が多く流れてきます。
それを見て、絵を学ぼうとしているあなたは
どんな気持ちになりますか?
「うわ、すごい!上手だなあ。神レベル!!」
「自分は全然ダメだなぁ…」
「こんなふうには絶対描けないよなあ~」
などと感じてしまいませんか?

でも、これはとても自然な反応ですよね。
プロの私でさえ、驚きの配信内容に
圧倒されることが多々あります。
だからこそ、あなたには、ここで一つだけ
知っておいてほしいことがあります。
SNSに流れている絵は、
その人の“結果”だけを切り取った一場面だよ、
ということです。
その裏にある
・失敗を繰り返した下描きの数々
・途中で手が止まってしまったスケッチ
・同じモチーフに挑んだ多くの時間
これら積層の時間は、ほとんどが見えません。
一方で、
あなたが見ているのは、
現在進行形の自分の作品、つまり、
「今この瞬間の自分の手元」なのです。
比べている条件が、
そもそも同じではないのです。

でも絵は、
その前後の時間こそが本当の制作なんですよ。

では、透明水彩に当てはめて考えてみましょう。
中には、あっという間に透明水彩画を
仕上げることができる人はいますが、
あなたとその人を比較するのはナンセンス。
透明水彩は、時間をかけて、
ゆっくりと絵を育てていける画材なのです。
他人のスピードと比べる必要はありません。
あなたのペースで進んでいい画材なのです。
描く時間が短い日があっても、
今日は筆を持てなかった日があっても、
それは「後退」なんかではありません。
もしSNSを見るのがつらい日は、
そっとアプリを閉じて、
スケッチブックを1ページだけ開いてみませんか?
描かなくても、開くだけで十分です。
絵を続けている人の多くは、
うまくなったから続けられたという人より、
自分の時間を大切にして描き続けてきた人、
という場合がほとんどです。

それよか、昨日の自分と比べてみた方が
ちゃんと一歩進んでおることに気づくんじゃよ。
しかし、こんなわしも、昔はよく他人と比べて落ち込んでいたものじゃよ。
🌱対処法②:無理に絵を完成させようとしない

焦って絵がバラバラになってしまった例
部屋の明かりの下、夜遅くまで根を詰め、
「あと少しだけ…」「あともうちょっと…」
筆を動かし続けた結果、
気合を入れて塗った花の色が濁ったり、
紙が擦れてボロボロになってきたりして、
筆を止めるタイミングを見失ってしまった…
そんな経験はありませんか?
「ここまで描いたのだから、今日中に完成させたい」
「中途半端なまま終わるのは、なんだか負けた気がする」
「せっかく絵の具を出したのだから、完成させないともったいない」
そんな気持ちから、
下の絵の具を乾かしてから塗りたいのに、
乾かないうちに色を重ねてしまう。
結果、
・にじみの効果と言うよりは、色はどんどん濁り
・明暗の調子が崩れ、立体感が壊れ
・最後には
「なんでこんなことになったんだろう…」
と、紙の前で立ち尽くしてしまう。

つい直したくなって…
気づいたら、ぐちゃぐちゃですっぴ…💦
この原因は一体何なのでしょうか?
あなたにセンスがないから?
あなたの描画力不足?
いいえ、それが原因の全てではありません。
では、そもそもの原因とは何なのか?
透明水彩は、
・次に重ねる色を考えて、乾かす時間が必要
・全体の色彩の調和を考える時間が必要
・一定程度、距離を置いて見直す時間が必要
これらすべてを含めて、ひとつの制作です。
つまり、
「今日はここまで」と筆を置くことも、
立派な制作行為なのです。
透明水彩で多い失敗の多くは、
「下手だから」ではないんですね。
「やめ時が分からなかっただけ」なのです。

描き足すことよりも、
「描かずに待つこと」が
絵を救う場面がとても多いんですよ。
焦りは禁物です!
完成させようと焦るほど、
絵は苦しくなります。
逆に、
・今日は下塗りをするだけ
・今日は影を少し足すだけ
・今日は全体を眺めるだけ
そんな日が積み重なって、
ある日ふと、
「今なら続きを描けそうだな」
と感じる瞬間が訪れるんですね。
その感覚こそが、
絵が次の段階へ進む合図です。

失敗だと決め込んで捨てようとするのを踏みとどまる。
そっちの方が難しいかもしれんよのう。
私が思うに、
絵が未完成だと感じる人や、
すぐ失敗作品だと決め込む人ほど、
人と比べたり理想を高く掲げすぎたりする傾向が強いと思います。
しかし、未完成も失敗作品も、
次に筆を持つための「途中経過」に過ぎないんです。
無理に完成させようと焦らないで下さい。
絵は、描いていない時間にも育つのです。
目が慣れ、感覚が追いついたとき、
必ずや「続きを描きたい」と思える瞬間が来ます。
その時に、新たに筆を加えて育てていきましょう。
見守りながら育てた子供ほど、愛おしいものです。
🥳 もし「もう少し描いてみようかな」と思えたら、
次は無理なく始められるこちらの記事も参考にしてみてください。
🌷「才能がない」と結論づけない

「やっぱり自分には才能がないんじゃないか」
絵を描いていると、
ふと、そんな言葉が頭をよぎる瞬間があります。
そして、こんな日も…。
・結局思うように描けず、落ち込む日。
・何度描いても形が決まらず苛立つ日。
・他人の作品の完成度が高くやけに良く見える日。
そんなとき、
「やっぱり自分には絵は向いていない😮💨」
と自暴自棄になりがちな時があります。

才能ないのかなって思っちゃうんですっぴ…💦
でも、そんな時は、
ここで一度立ち止まってください。
描けなかった時間=失敗、ではありません
絵が描けなかった時期。
筆が止まってしまった時間。
それは「何も生まなかった時間」ではありません。
多くの人が見落としがちですが、
描けない時期こそ、目と感覚は静かに育っています。
・なんか形が気になるんだよなぁ
・なんか色がうるさく感じるんだよなぁ
・「なんか違うんだよなぁ」
この「なんか…」という「違和感」は、
感性が次の段階に進もうとしているサインです!

感覚が整理されている途中なんです。
止まっているように見えても、
中ではちゃんと動いているんですよ。
失敗作は、捨てない方がいい
もし、過去の作品が手元に残っているなら、
どうか捨てずに取っておいてください。
私ごとで言うなら、それらは私の魂の一部です。
私の大事な子供達です。
うまく描けなかったスケッチ。
途中でやめた下描き。
それらは「下手な出来損ない」ではなく、
自分がどこでつまずいていたかを教えてくれる貴重な足跡です。
数ヶ月後、数年後に見返すと、
「あ、この頃はここで悩んでたんだな」
と、はっきり分かる瞬間が必ず来ます。
それこそが「感覚の進化」を証拠づける瞬間なのです。

あとで見返した時に愛おしく、
宝物になるものじゃよ。ほっほっほっほ。
デッサンで重視すべきは「才能」ではなく「理解」
「才能がある人は、最初から描ける」
これは、よくある誤解です。
実際には、
描ける人ほど
形を “ 理解する練習 ” を積み重ねています。
デッサンを磨けば、自分の腕を認めてもらえると
勘違いしている人が多くいます。
しかし、デッサンの本質は、技術の披露ではなく、
・よく観察する力を養うこと
・よく見比べる力を養うこと
・よく気づこうとする姿勢を養うこと
を体に覚えさせる訓練なのです。
結果的に見事なデッサンが出来上がり、
見る人を感嘆させる事につながります。

鉛筆やペン、コンテなどを手に持って描き続けていれば、
「本質を見る力」は、確実に積み重なっていきます。
🥳 もし「デッサンもやってみようかな」と思いたったら、
無理なく始められる初心者向けのこちらの記事も参考にしてみてください。
初心者 鉛筆デッサンのコツ|手のデッサンで描写力を高める練習法
絵は、五感すべてで育つ
絵は、写真のように描くものだと思う人もいますが、
絵は、写真のように再現することだけが目的ではありません。
紙と絵の具を使い、技術力だけで完成させるものでもありません。
・朝の光に一日が始まるエネルギーを感じる感覚
・道端の花びらに色と匂いを感じとる感覚
・頬を撫でる冷たい風に鋭利さを感じとる感覚
・水の流れに音の響きや涼やかさを感じとる感覚
こうした五感の記憶と感動は、
すべてがあなたの表現の引き出しになっていきます。
今日は思うように描けなかったとしても、
空を見上げて何かを感じた時間、
花をながめて何かを感じた時間、
それもまた「描くこと」の肥やしとなっています。
才能がない、と決めるのは早すぎます
才能があるかどうかは、
途中で判断できるものではありません。
多くの人は、
「才能がない」と思った瞬間に、絵をやめてしまいがちです。
逆に言えば、
くじけることなくやめなかった人だけが、
あとから「描ける人」になっていきます。

へたっぴでも、いいのですかっぴ?
僕、絵を描くのは好きなんですっぴよ〜。

今は「育っている途中」なだけですから。
ピ太郎さん、「継続は力なり」ですよ。
ピ太郎さんの絵は個性があってとても素敵ですよ!
🌷まとめ:描けない日々は、自分と対話する日々

昔から
「急がば回れ」
「急いては事を仕損ずる」
という言葉がありますが、
私はこの中でも「急がば回れ」という言葉がとても好きです。
例えば、これから2人が山を登るとします。
1人は一気に頂上を目指して駆け上がろうとし、
もう1人は、先人が整えてくれた山道をたどりながら、
休み休み頂上を目指します。
前者は早く着けそうに見えますが、
急斜面や崖に行く手を阻まれ、
途中で立ち止まったり、引き返したりすることもあるでしょう。
後者は遠回りに見えても、
足元を確かめながら一歩ずつ進むことで、
結果的に頂上へたどり着く可能性が高くなります。
これを絵を描くことに置き換えると、
とてもよく似ています。
焦って完成を急いだり、
他人と比べて自分を追い込んだりすると、
かえって絵が苦しくなってしまいます。
一方で、
「今日はここまででいい」
「今日は眺めるだけでもいい」
と立ち止まる時間は、
自分の感覚と静かに対話する大切な時間になります。
描けない日々は、
何も進んでいない日ではありません。
自分の目や心が、次の一歩の準備をしている時間です。
遠くを眺めて心を休ませ、
風や光や色を感じながら、
また次の一歩を踏み出す。
そんな歩み方でも、
絵はちゃんと育っていきます。
私自身も、我流で突き進み、
結果的に遠回りした経験があります。
それゆえに、「急がば回れ」
この言葉を自分に言い聞かせながら、
今日もまた一枚と向き合っていきたいと思っています。

その他にも、アクリル画や油彩画、漫画、イラスト、切り絵、デッサンなど、美術全般の指導書としてもやさしくていねいに学べるHPですぴー。
ぜひ別の記事でも楽しく学んでいただければと思いますぴー。














みんなすごく上手で…
僕、描く前から負けた気分になるですっぴ…💦