はじめに ~水彩画の下地となるデッサン力を育てよう~
こんにちは、画家のマキノ ロランです。
水彩画をはじめた方にとって、
「下描きが思うように描けない…」
「形がゆがんでしまう…」
という悩みはよくあることです。
今回は、鉛筆デッサンを学び、
水彩画の下描きや、絵を描く時の
上手な形の取り方などを身につけて欲しいと思います。

この記事では、
初心者向けに鉛筆デッサンの基本とコツを、
「手のデッサン」を通して段階的に解説します。
水彩画において、鉛筆デッサンを行うことは、
水彩画を確かなものにするために、とても大切です。
鉛筆デッサンを始めたばかりの初心者にとって、
「何をどう見て描けばいいのか分からない」
という悩みはとても多いものです。
鉛筆デッサンで基礎を固めるには、
「手のデッサン」がうってつけです。
なぜなら、自分の最も身近なモデルだからです。
いつでも描けます。
手が複雑な立体という大宇宙だとすれば、
そこは「K+S+M」といった小宇宙で構成されているのです。


「手のデッサン」には、これらすべてがびっしりと詰まっているのです。
それでは、
手の形態の見方、質感の描き方、明暗のつけ方など、
基礎から上達のコツを実践形式で学んでいきましょう。
途中では「モジャ先生」や「ベル先生」、初心者「ライト君」や「レモンちゃん」そして「ピ太郎くん」らの会話も登場しますので、お楽しみに!
Contents
実践1|初心者向け鉛筆デッサンのコツ【形の捉え方】

1-1 描く前に8割が決まる|初心者のための手のポーズ選び【描き方の基本】
水彩画を上達させるには、
下がきの基礎的なデッサン力が大事です。
彩色した完成作品の魅力的な印象を決めるのは、
8割が構図の印象です。
今回は、水彩画の基礎力を高めるために鉛筆デッサンに取り組みます。
描く対象は「自分の手」です。
この「自分の手」のポーズが構図に該当します。
つまり、「自分の手」のポーズが鉛筆デッサンの魅力的な印象の良し悪しをほぼ決めます。
あなたは、どんな「手のポーズ」に心ときめきますか?!
自分でときめく「手のポーズ」で、
最高の鉛筆デッサンを仕上げてみましょう。
1-2 鉛筆デッサン初心者が身につけたい「2つの見方」

鉛筆デッサンは、描くこと以上に“見る”ことが大切です。
見方は2種類あります。
👁️見方②:細部を注視し、あらゆる角度から徹底して観察する見方。
1-3 手全体の印象をつかむ|形を一括で捉える鉛筆デッサンのコツ

まずは、自分の手を目の前に出して、
ゆっくりと動かしながら観察してみましょう。
あなたは次のポーズでどのタイプが好みですか?




第1位チョキ✌️、第2位グー✊、第3位パー🖐️ なのよ。
自分の心にグッとくるタイプが決まったら、
次はどの角度から見て描くかを決めましょう。
ここで大事なのは、
手全体の印象にあなたの心がググッときているかどうかです。
自分がググッとこないポーズでは
気合の入ったデッサンができません。
1-4 細部に入る前にやるべき観察ポイント【初心者向け】

皆さんは、自分が決めたタイプの手の、
どんなところを注視すると良いと思いますか?
では、肉の凹凸やシワがあるようなところを
2つ以上見つけてみましょう。




じゃあ、次に先生があげるところを探して、見つけたらチェックしてみようか。
- 親指と他の4本の付け根は、違うところで曲がることに気づいたか。
- 親指が曲がる関節を3か所見つけられたか。
- 人差し指、中指、薬指、小指、それぞれの曲がる関節を3か所見つけられたか。(ヒント:横から見ると、付け根が意外なところで曲がっているのを発見するかも)
- 指の長さと太さが他の指と違うのが分かったか。
- 指の関節のシワが1本のところと2本以上のところを見つけられたか。
- 指ごとに爪の大きさや形が少しずつ違うことが分かったか。
- 手のひらには厚いところと薄いところがあるのが分かったか。(触って確認する)
- 手の甲に筋や血管が見つけられたか。(ぷくぷくの人もいます)
- 光が当たると陰や影になるところが見つけられたか。手の中で働く細胞たちを想像できたか。
これだけ見つけられたらすごいですね!
1-5 初心者におすすめの手の練習ポーズ(ジャンケンが最強)

- パー🖐️タイプ…指を広げた「しっかり開いたポーズ」
- グー✊タイプ…親指を一番手前に「しっかり握ったポーズ」
- チョキ✌️タイプ…斜め横向きで「脱力したチョキポーズ」

「グー」は固まっている感じ(量感)が出るように描きます。
「チョキ」は空間に浮き出ている感じをいかに出すかがポイントです。
※ただし、難しいと思われる形ほど魅力的である場合が多々あります。
1-6 描きやすさが変わる|鉛筆の持ち方と力の抜き方【初心者向け】
「鉛筆を寝かせて持つ」と、
やわらかい線が描けます。
「鉛筆を立てて持つ」と、
細かい線が描けます。
練習では両方の持ち方を試してみましょう。
初心者の鉛筆デッサンは、HB~2Bの濃さの鉛筆が扱いやすくて◎。

でね、デッサンでは“筆圧”と“線の長さ”のコントロールが肝心なんだよ!
それについては、次の章で勉強しようね。
実践2|手の鉛筆デッサン上達のコツ【立体感と構造】
形態の追求
~立体をとらえる目を養おう~
さあ、ここからは実際に自分の手を見て描きながら勉強しよう。
2-1 鉛筆の硬さを使い分けて立体感を出す方法【デッサンの基本】
まずは、鉛筆の使い分けにちょっと触れておきましょう。
- H系:明るいところや細部の書き込みに
- B系:陰影の表現に
👀ワンポイントアドバイス ⚡️芯は尖らせると描きやすい⚡️

2-2 初心者向け|迷わないアタリの取り方
最初に、形の大まかな枠を“アタリ線”でとります。
HBで描きます。
- 片目で手を見る。
- 手をシルエットで見ること。
細部ではなく、全体像をつかみます。
自分の手のシルエットと、紙に描いた手の角度がずれていないか、いちいち手を紙の上に持っていって確かめ修正します。

2-3 平面に見せないための立体意識のコツ【鉛筆デッサン】


- 指の中心に1本の線を骨をイメージして描きます。その周りをクルクル線でうすく囲んでいきます。

シンプルなポーズを図示するので、マネして描いてみてください。

親指の付け根だけ、4本の指の付け根と離れているので要注意!!!

実践3|手の鉛筆デッサン上達のコツ【明暗と質感】
質感と調子の追求~光と影で“命を吹き込む”~

3-1 ハッチングとぼかしで質感を描き分ける【鉛筆デッサンのコツ】

次に示す技法の習得は、とても大事なので、
必ず練習して身につけて欲しいと思います。
- ハッチング:同じ方向に線を重ねる描き方(曲線でも良い)
- クロスハッチング:十字に線を重ねる
- ぼかし:ティッシュや擦筆で優しくなじませる(あまりやりすぎると汚く見えるので注意する)
3-2 明暗を整理して手に“重み”を与えるデッサンのコツ
- 光の方向をまず決めます(例:左上から)
- 明るいところ→最初に手全体を薄くハッチングしておく。(クルクル線で描くのもよし)
- 中間トーン→クロスハッチングや鉛筆を寝せて染める。
- 暗いところ→筆圧を上げて、重ね塗りで深みを出す。
- 立体の陰とその下に出てくる影を見つける。
では、グー✊でどんな感じに出来上がるかを見てみましょう。



3-3 反射光を見つけて練り消しで描く方法
これが最後の決め手、プロの技です。
反射光を見つけてみましょう。

いっぱいいっぱい見つけてください。
反射光は、練り消しを使って描きます。
その上にH系鉛筆かシャープペンでハッチングをします。
この繰り返し。しつこく繰り返す。
3-4 境界線を活かして画面を引き締めるテクニック【鉛筆デッサン】
例で示したような「陰の強くなるところ」を少し濃く影を入れます。
すると絵にキレのある印象を持たせることができます。
線で濃くするのではなく、
面でグラデーションをつける(ぼかす)ようにします。



これまで学んだように、鉛筆デッサンは、
初心者が「形・立体・明暗」を同時に学べる最適な練習法であり、
手のデッサンを通して描写力の基礎を効率よく身につけることができます。
まとめ:手のデッサンは水彩画上達への“入り口”
鉛筆デッサンのコツは、初心者でも
「正しい見方」と「手の観察」を意識することで、
確実に身についていきます。
手のデッサンは、
描けば描くほど楽しくて、発見があります。
それは、自分自身を知ることでもあり、
形を「見る力」を養う絶好の練習だからです。
そして、描き込むほどに新しい発見に心が震え、のめり込んでいきます。
水彩画は透明感のある表現が魅力ですが、
その美しさを支えるのは、土台となるデッサン力。
ぜひ今回の3つの実践
① 形態(ポーズ)の追求
② 質感の追求
③ 明暗の追求
を意識して「手の鉛筆デッサン」を
繰り返し取り組んでみてください。
そして、あなたの絵に厚みを与えてください。
基礎的な鉛筆デッサンの練習は、
透明水彩の下描きにも役立ちます。
透明水彩での下描きプロセスの記事もぜひご覧ください。

その他にも、アクリル画や油彩画、漫画、イラスト、切り絵、デッサンなど、美術全般の指導書としてもやさしくていねいに学べるHPですぴー。
ぜひ別の記事でも楽しく学んでいただければと思いますぴー。
















