🌸透明水彩で描く「サザンカ」〜冬に咲く優しさを絵にしよう!

水彩初心者のために、冬の花サザンカを描く解説をしているサイトのアイキャッチ画像
記事執筆者のマキノロランが、今回の透明水彩で描く「花シリーズ」のサザンカを眺めて句を詠んでいる図。サザンカは淡い色合いで背景と調和している。この扉絵をスタートとして、記事紹介が始まる。
体が不自由であまり外出できない画家マキノが、トイレの窓を開けた時にふと目に入ったサザンカの花を眺めて歌を詠みました。 「トイレの窓を開け見るサザンカの赤散る我の涙かな」 みなさん、健康が一番!心も体も元気に絵を描いていきましょう。

こんにちは。画家のマキノ ロランです。
私は水彩画の初心者の方々の悩みに寄り添う自称「心の優しい画家」です。
透明水彩初心者のために、水彩画の魅力を伝えるための連載をしています。

ところで、みなさんは花々を見た時に
「水彩やイラストで描いてみたいなあ。」と思うことはありませんか?
今回は、「サザンカ」をモチーフとして、
初心者でも楽しめるような「花の描き方ステップ」を解説したいと思います。
今ではAIの発達で、コンピュータが合成画像を即興で作れる時代に突入しました。
しかし、だからこそ私は、
個性を発揮し、その人なりの思いを込めて、
実際に自分で鉛筆やペン、絵筆を持って、
「自己表現する楽しさ」を味わって欲しいと思います。

今回は「サザンカ」をテーマに、透明水彩で花の生命感を描き出す方法を解説します。
この記事を読むことで、
花を観察し、形を立体的に捉える下描きのコツ
水彩画の基本技法を花に応用した塗り方のコツ
写実で描く方法とイラスト風(淡彩+ペン)で描く方法

を学ぶことができます。
「花の知識」を身につけ、
「画材や道具」を確認し、
「描き方」を学んでほしいと思います。
ゆっくりと楽しみながら、手描きによる自分だけの表現の楽しさを味わってみてください。

🌿 視点A:観察と下描きの基本

多くの家庭で垣根として植栽されているサザンカの写真画像。冬から春にかけて咲く花で、八重咲きや一重咲きがある。色は赤、ピンク、白が一般的。ここでは赤いサザンカの画像紹介。
これは私の家の垣根で咲いているサザンカです。どんな点にポイントをおいて描いたらいいと思いますか? 花びらは少し丸みを帯びて重なり合っていますね。水彩のにじみを使って描いたら、自然で柔らかい質感を表現できるかもしれませんね。

A.1 水彩で描く「サザンカ」ってどんな花?

山茶花の暮れゆきすでに月夜なる(水原秋桜子/大正~昭和の歌人・医師)
サザンカと言えば、椿に似た姿ながら、
花びらが一枚ずつはらりと落ちるその儚さに、
多くの歌人や画家が心を惹かれてきました。
サザンカは、ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹小高木。
日本の固有種です。
10月から12月晩秋から初冬の花として親しまれています。
サザンカの野生種は白い花(部分的に淡い桃色)を咲かせます。

ピ太郎
え、赤じゃないニョ?ニャンだって~
園芸品種の色は、様々です。
分布は四国、山口県以南。
今は、5月頃まで花をつけるハルサザンカ系園芸品種群があり、
3月の花として分類されることもあります。
モジャ先生
花言葉には「ひたむきな愛」というのもあるのじゃ。
わしはサザンカを見ると愛を込めて描きたいと心が揺さぶられるのう。

A.2 花の構造を理解する
:合弁花?離弁花?

ベル先生
合弁花(ごうべんか)とは、花弁(=花びら)が合着して1つになっている花のこと。
レモンちゃん
あ、朝顔やリンドウなんかですね!
ベル先生
そうですね。それに対してサザンカは、離弁花(りべんか)と言って花びらが一枚ずつ分かれている花なんです。
透明水彩で描くサザンカの構造図。花の描き方を初心者が理解するために必要な花弁の位置、雄しべ雌しべの構造を簡略に示した線画。萼片(がくへん)は見えない。
花の構造を理解しておくと、水彩で描くときにも迷いがなくなります。自分でも何度か模写して花の構造や花弁の重なりを記憶し、水彩画を描くときに役立ててみましょう。

まずは花弁と花芯を観察してみよう。
花弁数は通常5~7枚、すごくたくさんのもあります。
花芯は黄色い雄しべの塊があります。

A.3 葉の形と観察ポイント
:葉脈と鋸歯

サザンカの葉は、楕円形で先がとがり、
縁(ふち)に細かい鋸歯(きょし:ギザギザ)があります。
サザンカの葉は比較的「光沢」があります。
葉脈は「主脈+側脈」があり、光の方向によって明暗が生じます。
主脈以外は目立ちません。
葉の端の鋸歯は描写しがいがあります。
まず実物または写真を準備し、葉をクローズアップで観察して描いてみましょう。

初心者が葉の描き方を理解するために描かれたサザンカの葉の鉛筆スケッチ。鋸歯と葉脈の入り方を示した線画。表、裏、側面から観察して描いている。紙はアルビレオを使用。
葉の形・鋸歯をよく観察してください。葉脈は主脈の流れをとらえます。水彩の初心者は構造を理解し、絵の描き方に活かしていきましょう。

A.4 形の取り方
:基本形へ単純化して見る

花や葉を描くときは、いきなり輪郭線を写実的に描こうとするよりは、
「円・楕円・三角・四角・円錐(えんすい)・円柱(えんちゅう)」などに単純化してスケッチすると、正確なバランスを保つ練習になります。

サザンカの花の場合、花全体を「楕円形」で捉え、次に花弁一つ一つも「楕円や、ひしゃげた楕円、あるいは横に膨れたハート型」で重ねて描いていくと言う具合です。

図の解説に合わせて、一緒に描いて練習をしてみて下さい。

初心者が絵を描く時に大事な形の取り方で、「楕円形などの幾何形態」や「つぶれたハート型」で花の形を構成する下描き例。透明水彩の花(サザンカ)を描く前段階の構造スケッチ。第一段階は大きな一つの楕円で捉える。
初心者は、花や葉の下描きで形を捉える時に、単純化してから描くとバランスが崩れにくくなります。 第一段階は、大きな楕円形のシルエットで捉える目を持つ。
初心者が絵を描く時に大事な形の取り方で、「楕円形などの幾何形態」や「つぶれたハート型」で花の形を構成する下描き例。透明水彩の花(サザンカ)を描く前段階の構造スケッチ。第二段階は複数の長楕円やつぶれたハート型を放射状に重ねる。
第二段階は、複数の長楕円やつぶれたハート型を放射状に重ねる。
初心者が絵を描く時に大事な形の取り方で、「楕円形などの幾何形態」や「つぶれたハート型」で花の形を構成する下描き例。透明水彩の花(サザンカ)を描く前段階の構造スケッチ。第三段階は具体的なアウトラインを決定していく。余計な線は消しゴムで消す。
第三段階は、具体的なアウトラインを決定していく。余計な線は消しゴムで消す。

作例の出来上がりが汚くてすみません。
まだ手指の麻痺が残ってまして…😰💦

A.5 光源を設定し立体感を出す

花弁に光が当たる方向を決めることで、陰影の位置が明確になります。
左上から光を当てると、
右下に花弁の陰影が出るので、立体感を感じやすくなります。

“ここが上達ポイント”
※以下の点をできるだけ守ると、絵の上達に差がつきます。
① 絵を観察して描くときは、同じ光源で描く。立体感が明確になる。
② 数日にまたがって室内の自然光で描くときは、同じ時間帯、同じ場所を選ぶ。
③ ライトを使う場合も、①と同様に同じ方向から光を当て続ける。
たくさんの蛍光灯の下では、陰影が混ざり合って陰影の確認が複雑になる。
ただし、今回のサザンカの場合は、花びらが潰れているので、陰影がほとんど感じられません。
ですので、ここでは実際のサザンカの描写を省略いたします。

✏️ 視点B:描画材料と準備

さて、ここからは描画材料と準備について解説します。
最低限必要なもの、これがあると便利だなと言うものなども含め紹介したいと思います。

B.1 下描き用の道具

水彩画の下描きに備え、次の道具があると良いです。

花の絵を描くために必要な下描き用の道具一覧図。鉛筆、シャープペン、赤ボールペン、練り消しゴム、プラスチック消しゴム、自作カーボン紙、クロッキー帳、トレーシングペーパー、デスケール、水彩紙は必須
花の絵を描くために必要な下描き用の道具一覧図。鉛筆、シャープペン、赤ボールペン、練り消しゴム、プラスチック消しゴム、自作カーボン紙、クロッキー帳、トレーシングペーパー、デスケール、水彩紙。この道具・材料があれば、下描きの準備は万全です。

1 下描きに最低限必要な道具

以下の道具類が揃っていれば、下描きの工程を上手く進められます。

鉛筆
下描き用にHBが初心者向け。
赤ボールペン
下描きを写し取ったトレペを本番の紙になぞる時、なぞった線が見分けつくように使用する。
練り消しゴム
消しかすを出さないために使用する。
紙の毛羽立ちが出ないので、後での彩色がしやすくなる。
プラスチック消しゴム
最後のはみ出しを消すときに使用する。
自作のカーボン紙
あらかじめトレペの片面を鉛筆で塗りつぶし、スケッチを本番の紙に転写の時に使用する。
クロッキー帳
構図の試作に最適。大きさはA4~A3
トレーシングペーパー
スケッチを本番の紙に転写するために使用する。

2 これがあると便利な道具

シャープペンシル
芯の濃さはHB。
下描きを転写後の最終的なアウトラインを整えるために使用する。
デスケール
対象を枠線で分割して正確性を出すために使用する。
作品が小さい時は使用せずとも構わない。

3 下描きの工程(初心者が転写する場合

本番用の水彩紙に直接下描きができる人
もしくは作品が小さい場合などは、転写ではなく直接描いてもいいですよ。

① 下描き用画用紙に下描きの絵を描く。↓

水彩初心者のために解説している描き方の第一段階で、鉛筆で下描きをした画像
鉛筆での下描きは、楕円のイメージを持つなど、単純化して観察すると描きやすい。

② それを鉛筆でトレーシングペーパーに1本線で写しとる。

下描き用画用紙に書いたサザンカをトレーシングペーパーに清書した画像。鉛筆はHBを使用。
下描きしたサザンカの絵にトレーシングペーパーを乗せて、1本線で清書します。

自作のカーボン紙を作る。

清書した下描きを水彩紙に転写するために使用するカーボン紙を自作している様子の画像。鉛筆は2B程度を使用。
清書した下描きを水彩紙に転写するために、カーボン紙を自作します。鉛筆は2B程度を使用します。
清書した下描きを水彩紙に転写するために使用するカーボン紙が完成した様子の画像。鉛筆は2B程度を使用。
自作カーボン紙が完成しました。

水彩紙、自作カーボン紙、下描きを清書したトレペの順に重ねる。赤ボールペンでなぞって転写する。↓

水彩紙、自作カーボン紙、下描きを清書したトレペの順に重ね、サザンカの下描きを赤ボールペンでなぞって転写している様子の画像。
赤ボールペンでなぞる時は、鉛筆の粉が水彩紙にうまく転写されているかを確認しながら筆圧を調整します。

⑤  このように、やや薄い鉛筆の下描き線が、水彩紙に写転される。↓

サザンカの下描きが、うまく水彩紙に転写された様子の画像。
サザンカの下描きが、うまく水彩紙に転写されました。
下描きが転写されたサザンカの画像。
鉛筆の芯が濃いと思ったら、練り消しゴムで少し吸い取ります。薄いと思ったら少し鉛筆で線を描き加えます。

ベル先生
既成のカーボン紙で転写する方法もありますが、その描き方については別の機会でお話ししますね。

B.2 本番用画材

花の絵を描くために必要な本番用の画材一覧図。筆、修正用筆、筆洗い、筆拭き、絵の具、パレット、メラミンスポンジ、マスキング液、ラバークリーナー、水彩紙は必須
花の絵を描くために必要な本番用の画材一覧図。筆、修正用筆、筆洗い、筆拭き、絵の具、パレット、メラミンスポンジ、マスキング液、ラバークリーナー、水彩紙は必須です。この道具があれば、本番の彩色準備は万全です。

ここで紹介するのは、彩色に必要な本番用の画材です。

Ronron
試していく中で、自分好みを発見していってください。
たくさんありすぎて迷うかもしれませんが、それもお楽しみの一つです。
水彩紙
写真はアルビレオ水彩紙です。A4版で1枚あたり40円くらいです。
描き心地は、しっとり感があります。
練習にはこれで十分かと思いますが、
グラデーションやにじみ、ぼかしなどの表現はやや難しいです。
やっぱりやや高めの水彩紙の方が上達は早いでしょう。
水分をたっぷり含むものを使う。
絵の具の伸びが良く、筆先が細くまとまるものが良い。
広い面積を塗る平筆と、
花弁や葉を塗る彩色筆、
さらに細部を描くための面相筆があると良い。
修正用筆
簡単なリフトアップ修正用にナイロン製の小さな平筆ナムラ1番などを使う。
筆洗い
3つの仕切りがあるバケツを使う。
しっかり洗うスペース、もう一度洗うスペース、絵の具を溶く水のスペース。
作品が小さい場合は、豆腐のパッケージなどを代用するのも良い。
手軽で筆を洗った水の汚れ具合が見やすい。
私は、赤系絵の具洗い用のスペース、青系絵の具洗い用のスペース、黄色系絵の具洗い用のスペース、透明な水などのように小分けして準備しておきます。
同時にその色に合わせた筆の数もあればとても使いやすいです。
筆拭き
ティッシュを使う。
絵の具
ホルベイン透明水彩、ウィンザー&ニュートンなど様々なものがあるので、好みで選ぶ。
購入したら2色混色見本を作成しておくと便利。
パレット
チューブ絵の具を購入した際に、パレットに絞り出して乾燥させて使用する。
最初から固形絵の具を購入するのも手軽に始められるので、おすすめです。
メラミンスポンジ
水を含ませて擦り、絵の具のはみ出しや汚れ、失敗したところを消すのに使う。
マスキング液
花芯の白抜きに便利。
マスキング液は使う分だけ小瓶で分けて少し水で薄めておく。
白抜きしておきたい細かい部分に塗るために使用する。
マスキングに使う筆はあらかじめキッチン用洗剤液入りの水に浸してから使う。
こうすることで、筆が固まりにくくなる。時々洗剤液に浸しておく。
私は、水筆に「水:インク液=1:1」の混合液を入れて使用している。
筆が固まりにくくなる。
ラバークリーナー
乾いたマスキングインクを擦って取り除くときに使う。

B.3 水張りの基礎

初心者が花の絵を上手く描けるように、準備として水彩紙をベニヤ板に水張りした様子。ウォーターフォード紙に刷毛で水を塗って湿らせ、水張りテープで四辺を固定している。
初心者でも難しくはありません。花の絵を良く仕上げるために、水彩紙のたわみを防止する水張りは丁寧に行なっておきましょう。水彩紙はウォーターフォード紙を使用しています。

水張りと言うと、初心者にはちょっとハードルが高いように感じますが、やり方を学べばすぐにできるようになります。
水張り用のテープがない時は、
幅の広いマスキングテープなどで代用することも可能ですが、
剥がれやすいのでお勧めできません。

水をたっぷり含んだ水彩紙が、
ぐったりと伸び切る姿を見るのはとても愛らしく感じます。

水張りの準備
厚さ4mm以上のシナベニヤ(パネル板)を使用する。
私は、木版画用のシナベニヤをよく使います。(写真参照)
その他、スポンジ、水張り用テープ、ハサミ、タオルを準備する。
私は、スポンジの代用として、ティッシュに水を含ませてテープを濡らします。
楽ちんでいいです。
水張りの方法
紙を裏返し、水で湿らせて、5分ほど放置する。
再び紙を水で湿らせて、5分ほど放置する。
紙がしっとりと広がり「もうお腹いっぱいです。」と呟いたようになったら、紙を表に返してテープでパネル(シナベニヤ)に固定する。
あとは乾燥を待つ。
波打ちを防ぎ、絵具のにじみがコントロールしやすくなります。
モチモチ
A4版程度の小さな紙だったら、水を使わないで、乾いた紙のままテープで固定しても大丈夫みたいな感じがします…。
あと、薄い紙は絶対水張りした方がいいですよ…。

💧 視点C:彩色テクニックと仕上げ

花の描き方の彩色テクニックと仕上げを紹介する項目の挿絵画像

ここでは下描きをした花や葉っぱに
彩色を施す基本的なテクニックを紹介します。
サザンカに彩色を施す場合は、
あまり色数を使うこともなく、
簡単な技法で塗ることができます。
初心者でも安心して彩色を施すことができますので、がんばりましょう。

C.1 ウェット・オン・ウェット

下描きが終えた後、一番最初に薄い色を塗るときに使用する技法です。
あらかじめ水を塗っておき、その上に絵の具を落とし塗り広げます。

ウェットオンウェット技法で描かれたサザンカの彩色ステップ。水を含ませた花弁に赤の絵の具がにじむ様子を段階的に示した図。この技法は広い面積の彩色に向いている。絵の具は、ホルベインの透明水彩絵の具。
広い面積を均一に塗る場合、ウェット・オン・ウェットで塗ります。水を塗って紙を湿らせてから色をのせることで、自然な柔らかさを生み出すのがポイント。にじみの流れを調整しながら、均一な発色を生み出しましょう。

💔禁止行為
*絵の具が乾き始めたところを塗り直そうとしないでください。
*汚くなります。
🩷推奨行為
*色をしっかりと乾燥させてから次の色を塗るようにする。
*発色がきれいです。

Ronron
図をみてください。
花びら全体をうすく水で湿らせてから、赤をにじませます。
高価な紙は綺麗ににじみます。
安価な紙(アルビレオなど)はムラが出やすいです。😭

C.2 花弁に濃淡をつける
グラデーションの技法

花弁自体の濃淡や、花弁同士の重なり合いによってできる陰影の濃淡などを表現するには、グラデーションの技法が最適です。

サザンカの花弁をグラデーションの技法で表現した彩色ステップ。水を含ませた花弁に赤い絵の具がにじむ様子を示した図。絵の具は、ホルベインの透明水彩絵の具。
花弁のグラデーションは、水を塗って紙をほんのりと湿らせ平塗りをしてから、最も濃い部分に色を差し込んで淡い色の方向へと絵の具を滲ませていくのがポイント。花に自然な立体感が生まれます。
1色によるグラデーションの表現技法
① グラデーションにしたい部分に水を塗り湿らす。
② 色を濃くしたい所に絵の具を差し込む。
③ 花弁の根元は濃く、外側へ向かって淡く。
④ 水を適度に含ませた水筆を軽く動かしならす。
ベル先生
それでは、水彩らしい柔らかいにじみを生かした
「花弁にグラデーションを自然に作る」練習をしてみましょう。
サザンカの花弁をさらにグラデーションで濃淡を強調した彩色ステップ。花弁の濃い部分に赤い絵の具を差し込み、それを少し水を含ませた筆で広げていく様子を示したグラデーション第2段階の図。絵の具は、ホルベインの透明水彩絵の具。
花弁の濃い部分に赤い絵の具を差し込み、それを少し水を含ませた筆で広げていく。水筆の腹を使ってぼかすのがテクニックの見せ所。

練習あるのみ!

C.3 花芯を塗る前の下準備

花芯はあらかじめマスキングインクで、
絵の具を弾くようにマスキングしておきます。

サザンカの花芯をマスキングの技法で表現した彩色ステップ。雌蕊雄蕊をマスキングしている。後に、花弁を彩色し、乾燥後マスキングインクをラバークリーナーで剥がし花芯を彩色する。その第1段階のマスキングインク描画。
サザンカの花芯をマスキングインクで点描します。マスキングした後花弁を彩色し、乾燥後マスキングをラバークリーナーで剥がし花芯を彩色します。インクは水筆(水:インク=1:1)に詰めて使用しています。

花弁を彩色した絵の具が乾いた後、
マスキングをラバークリーナーで剥がします。
ない時は消しゴムや指で代用します。

花弁を彩色した絵の具が乾いた後、マスキングインクをラバークリーナーで剥がしている所の画像。ラバークリーナーは3cm程度に切って使用する。
花弁を彩色した絵の具が乾いた後、マスキングインクをラバークリーナーで剥がします。ラバークリーナーは3cm程度に切って使用すると便利です。

白抜き部分に黄色を置くと、
花の生命を感じるアクセントになります。

白抜きした部分に黄色の絵の具を塗って雄蕊と雌蕊を仕上げたサザンカの完成図。
白抜きした部分に黄色の絵の具を塗って雄蕊と雌蕊を仕上げます。これでサザンカの花が完成しました。

😱 マスキングインクは、水彩紙に塗ってから長期間ほったらかすと、剥がれにくくなるから注意してください。

C.5 イラスト調の描き方は
「輪郭をペン」+「淡彩」がおすすめ

耐水性のペンを使って、
「線描」と「淡い水彩」を組み合わせると、
軽やかなイラスト調の表現になります。
この描き方は、絵はがきやSNS投稿にもぴったりです。
参考Webサイト:https://eomanabo.com/pen-and-wash で
「ペンと淡彩の描き方」を詳しく紹介していますので、
ぜひ下記の描き方と一緒に学んでほしいと思います。

ペンと透明水彩を組み合わせたサザンカの描き方例。左は線画、右が淡彩を重ねた仕上がりを比較したイラスト。ペンは、サクラのPIGMA0.8mmと0.5mmを使用。
ペンの線を活かすことで、淡彩の色がより引き立ちます。透明感と軽やかさがある魅力的なイラストとしてSNS映えする仕上がりになります。サクラのPIGMA0.8mmや0.5mmを使い分けています。
ピ太郎
最後に黒い線ではっきり輪郭線を描くと気持ちいいにゃ~ん。

🌺 視点D:花の描き方おまけ

D.1 ステップアップの道筋

単花の練習ができたら、枝や葉を加え、自分独自の世界観を描いてみませんか?
背景の配色を工夫して、季節の空気感を表現するのもいいですね。

花の描き方ステップアップの道筋
① 花1輪の練習をすること。
② 葉や枝を含む構図の練習をすること。
③ 背景との調和を練習すること。
焦らずコツコツと取り組んでみてください。
苦労して練習した分、作品に愛着が生まれますよ。

D.2 資料用「写真撮影」の注意点

スケッチのための資料を集めるには、
花の写真撮影をしておくといいと思います。
以下の点に注意しながら、撮影してみてください。

写真撮影の注意点
① 屋外の花は、自然光の下で撮影する(曇天が理想)。
② 切り花は、白いバックボードで色がわかりやすいようにする。
③ 接写と全体写真を撮って構造を整理しておく。

D.3 サザンカが描かれた歴史上の作品例

画力向上には、模写が最も良い方法です。
たくさんの画家、絵師たちが花の絵を描いています。
ここでは、サザンカを描いた作品を紹介しますね。

瑞渓周鳳(ずいけいしゅうほう)
/ 紙本著色山茶花小禽図(しほんちゃくしょくさざんかしょうきんず)
対角線構図で描かれた小鳥とサザンカ。
小鳥と花の会話が聞こえてきそうですね。

京都国立博物館所蔵の「紙本著色山茶花小禽図(しほんちゃくしょくさざんかしょうきんず)」の画像。作者は、瑞渓周鳳(ずいけいしゅうほう)。室町時代15世紀の作品。歴史上のサザンカの絵の紹介。
京都国立博物館所蔵の「紙本著色山茶花小禽図」。作者は、瑞渓周鳳。室町時代15世紀の作品。

こちらは瑞渓さんの絵を模写しました。

画家マキノロランが描いた部分模写。原本は「紙本著色山茶花小禽図(しほんちゃくしょくさざんかしょうきんず)、作者:瑞渓周鳳(ずいけいしゅうほう)/時代:室町時代15世紀。現物は京都国立博物館所蔵」
画家マキノによる模写作品。瑞渓さんは日本画を描かれていましたが、透明水彩で模写してみました。色合いを明るめにし、時代を超えて当時の様子を復活できたらという気持ちを込めています。

その他にも、小倉遊亀(おぐらゆき)さんの作品なども味があっていいです。

まとめ:念ずれば花ひらく

今回は「サザンカ」を通して、
透明水彩で花の生命感を描き出す方法を学びました。
① 花を観察し、形を立体的に捉える下描きのコツ
② 水彩画の基本技法を花に応用した塗り方のコツ
③ 写実で描く方法とイラスト風(淡彩+ペン)で描く方法
いかがでしたか?
「花の知識」を身につけ、
「画材や道具」を確認し、
「描き方」を学ぶことができましたか?

みなさんが花を描こうと思った動機はさまざまだと思います。
私は、そんなみなさん一人一人の心が穏やかになり、
やがては隣人や命あるものへの愛情として繋がっていけばいいなと思っています。
「花」をキーワードにした詩があるので、
少し紹介して今回の記事を書き終えようと思います。

🌺「念ずれば花ひらく」 坂村真民

苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつひらいていった

みなさんの心にも、花を描くことを通して勇気の花が咲きますように。

坂村真民略歴
1909年(明治42年)熊本県玉名郡府本村生まれ。
1917年(大正6年)8歳の時、父親が急逝。36歳の母と5人の兄弟で内職のどん底生活。
1931年(昭和6年)神宮皇學館卒業後、熊本で教員。
1934年(昭和9年)朝鮮に渡り師範学校の教師。
1945年(昭和20年)終戦後、身重の妻久代と1歳半の長女を連れ、朝鮮から引き揚げて来る。
1946年(昭和21年)「蒼穹」同人の佐伯秀雄の誘いで、愛媛県西宇和郡三瓶町に移住。
私立第二山下高等女学校国語科教諭として着任。
20歳から短歌に精進してきたが、41歳で詩に転じる。
1955年(昭和30年)46歳で目の病にかかり絶望感を抱く。
この時、母が苦しい時に口にしていた「年ずれば花ひらく」という言葉が頭をよぎり、この言葉を真言としていくことを決める。
1962年(昭和37年)53歳の時、個人月刊詩誌『詩国』を発行する。
40年以上1度も途切れることなく、500号の終刊まで続ける。
1967年(昭和42年)58歳の時、伊予郡砥部町に定住。新田高校国語科教諭として着任。
1974年(昭和49年)65歳で退職。詩作に専念する。
午前0時に起床し、夜明けの霊気と星々の光を吸引することで自分の詩を生み出していた。
午前3:30頃に重信川のほとりに赴き、大地に口付けて「地球さん、ありがとう。」と感謝の念を込めた独特のお経を読んで帰ってくる生活を行う。
2006年(平成18年)97歳で伊予郡砥部町にて永眠。老衰。

🖋️ 執筆:マキノ ロラン
公式サイト:https://eomanabo.com/

ピ太郎
このHPでは、水彩画を中心に、絵に興味のある人の疑問(材料や道具の選び方や使い方、水彩画の技法など)に答える内容を紹介しますぴー。
その他にも、アクリル画や油彩画、漫画、イラスト、切り絵、デッサンなど、美術全般の指導書としてもやさしくていねいに学べるHPですぴー。
ぜひ別の記事でも楽しく学んでいただければと思いますぴー。