
こんにちは。画家のマキノ ロランです。
私は水彩画の初心者の方々の悩みに寄り添う自称「心の優しい画家」です。
透明水彩初心者のために、水彩画の魅力を伝えるための連載をしています。
ところで、みなさんは絵の具を使って絵を描いている時に、
うっかり手や衣服に絵の具をつけてしまう事はありませんか?
今回は、水彩絵の具を使うお子様や保護者、
趣味で絵を描く方、
学校や教室で指導する先生など、
幅広い方々向けに、
うっかりつけてしまった絵の具の落とし方、
服やパレットに付いて時間が経ってしまった絵の具の落とし方を解説したいと思います。
この記事を読むことで、
① 手についた水彩絵の具の落とし方、
② 服、布地についた水彩絵の具の落とし方、
③ 床、壁についた水彩絵の具の落とし方、
④ パレットについた水彩絵の具の落とし方、
その他、知っておくと役立つ情報を手に入れることができると思います。


💁🏻♀️【 答 え 】👀
- 作業前の心構えが不十分 😅
- 作業中の不注意 😅
- 作業スペースの整理整頓がされていない 😅
- 絵の具の扱いに慣れていない 😅
などが挙げられますね。
特に子どもや初心者は、
絵の具を塗った所に手や肘をつけてしまうことが多いですよね。
そのほか、パレットの掃除を怠り、
絵の具が乾燥してこびりつき、落としにくくさせてしまうことも。
(ただし、パレットを固形絵の具にしているときは別です)
こうしたミスを防ぐために、
ぜひ正しい使い方と落とし方を学んでおきましょう。
Contents
「手」についた水彩絵の具の落とし方


みなさん、水彩絵の具が手についた場合、
乾く前にすぐ水で洗いましょう。
乾いた絵の具の頑固な汚れには
歯磨き粉などを使うと効果的ですよ。
基本的な落とし方:石鹸と水の活用

水(ぬるま湯)、石鹸(ハンドソープ)
- 水で軽く洗い流す。ぬるま湯なら、ベスト。
- 石鹸やハンドソープを使い泡立ててやさしくこする。
- 指の間や爪の周りなど、細かい部分も丁寧に洗う。
- 最後に流水でしっかりすすぐ。
- 肌が弱い方は、保湿クリームでケアすると良い。
クレンジングクリームを馴染ませて、温水で洗うと良い。

🙋🏻♀️ クレンジングとは?
主にメイクや日焼け止め、皮脂などの油性の汚れを落とすためのスキンケア製品。
役割①
…水だけでは落としきれない油性の汚れを分解する。
役割②
…肌の油分を守りながら汚れを浮かせる。
効 果
…洗顔の場合、毛穴の奥の汚れ(角栓など)を落とす。
効果的な落とし方:
歯磨き粉の使用

ペーストタイプの歯磨き粉
- 少量の歯磨き粉を汚れた部分にのせる。
- 指先で円を描くようにやさしくこする。
- その後、ぬるま湯でしっかり洗い流す。
- 肌への刺激が気になる場合は、ペーストタイプの歯磨き粉を選ぶ。
- 刺激レベル…強い/粉、中/ペースト、弱い/ジェル
この方法は、特に「乾きかけの絵の具汚れ」に有効です。

- 歯磨き粉の代わりにクレンジングオイルを使うこともできる。
- ただし、強く洗うと、肌表面の皮脂が流れバリア機能が低下するので注意する。

「衣服・布地」に付着した水彩絵の具の落とし方

衣服に水彩絵の具が付着した場合、早めの対処が重要です。
新しい汚れと乾燥した汚れでは落とし方が異なります。
また、衣服の素材によっても適切な方法が変わるため、注意が必要です。
スピードがカギ:
服に「付着したばかりの絵の具」の落とし方

水、中性洗剤(または固形石鹸)、歯ブラシ、洗濯機

- 汚れた部分を流水で裏側から流し、絵の具を押し出すようにする。
- その後、中性洗剤(または固形石鹸)を直接塗る。
- 歯ブラシがあれば汚れを浮かせるように叩く。
- やさしくもみ洗いする。
【注意】こすりすぎて、汚れを広げないように注意する。 - 最後に、洗濯機で通常通り洗う。
水(ぬるま湯)、中性洗剤、重曹、酸素系漂白剤(粉末)、歯ブラシ、洗濯機
- 絵の具が付いた部分を軽く湿らせ、中性洗剤を直接塗る。
- 優しく揉み込んで絵の具を浮かせた後、40℃~60℃のお湯で洗い流す。
- 重曹、酸素系漂白剤、中性洗剤の3つを混ぜ、ペースト状にする。
- 汚れた部分に塗り、1時間程度40℃~60℃のお湯に付け置きする。
- その後軽くブラシで擦った後、流水で洗い流す。
- 絵の具が衣服に広がっている場合、石鹸水を含ませた布で擦り取る。
- 最後は洗濯機で洗う。
- ※40℃~60℃のお湯は酸素の泡を活発に発生させ、汚れ落ちの効果が上がる。それ以上熱すぎるお湯は衣類を傷める。
スペシャルテクニック:
「乾燥した絵の具」の落とし方

今回のメインとなる服に絵の具汚れをつけて、
時間が経ってしまった場合の落とし方です。
重曹や酸素系漂白剤を使った方法が有効です。
- 重曹と酸素系漂白剤を1:1で混ぜる。
- 少量のぬるま湯を加えてペースト状にする。
- これを汚れた部分に塗り、10~20分ほど置く。
- やさしくもみ洗いする。
- その後、通常通り洗濯する。

間違っても❌「塩素系漂白剤」は使用しないでね。
- リムーバーを塗って擦ってみる。落とせたら儲け物。
- 基本的に除去は困難。諦めましょう。

リムーバー使用上の注意(アクリル絵の具)
アクリル絵の具の場合、固まった絵の具は専用リムーバーを使用しても良い。
- 絵の具が固まった部分にリムーバーを馴染ませ、アルミホイルかラップで包む。
- 柔らかくなるまで3時間以上放置。硬い時は一晩放置する。
- 絵の具が溶け出したら、ブラシコームで掻き出す。
- 布で拭き取り、石鹸をつけてゴシゴシ洗う。
- 水でしっかりと洗い流す。
② 結果をあまり期待しないこと。
リムーバーのお勧め種類
| ホルベインエコリムーバー | 筆や硬い素材についた絵の具を効果的に除去。 汚れた部分にたっぷり塗る。3時間~24時間置いて、柔らかい布で拭き取り、石鹸で水洗いする。 |
| クサカベ リムーバーK |
非塩素系絵の具除去剤。揮発性。蒸気の吸入による人体への影響が極めて低い。消去速度は、類似品の「ストリッパー」より遅い。 |
| ターレンス画用液スーパークリーナー | 油絵具や版画インキ等様々な画材による衣服の汚れや筆やパレットの汚れを強力に落とす。 小範囲の汚れの場合、布切れに少量付け、汚れの上からたたく。 広範囲またはガンコな汚れの場合は塗りこんで手洗い。大事な衣類はやめておく。 |
洋服の種類別に知っておくべき注意点

衣服の素材によって、適切な落とし方や注意点が異なります。
ウールやシルクなどデリケートな素材は、
強い洗剤や漂白剤の使用を避けます。
また、色柄物は色落ちや変色のリスクがあるため、
必ず目立たない部分でテストしてから作業します。
洗濯表示も確認し、素材に合った方法を選ぶことが大切です。
| 素材 | 絵の具の落とし方 | 注意点 |
| 綿・ポリエステル | 石鹸・中性洗剤・漂白剤 | 色柄物は漂白剤に注意 塩素系は色落ちしやすい |
| ウール・シルク | 中性洗剤・ぬるま湯 | 強い洗剤や漂白剤はNG 特に塩素系漂白剤、酸素系漂白剤粉末タイプは避ける |
| 共通 | 洗濯表示を確認する | 心配な時は目立たないところでテストする |
汚さない対策が大事!

- 床に古新聞やレジャーシートを敷く。
- レジャーシートは洗って乾かし再利用。
- エプロンや使い古しの服を着る。
- サクラクレパスの「マット水彩マルチ」のような落としやすい絵の具を利用する。
汚れ落としの最後の砦

衣類を持ち込む時は、絵の具の種類を具体的に伝えます。
実際の絵の具を持参して説明しましょう。
「机や床、壁」に付着した水彩絵の具の落とし方

- 濡らした布でゴシゴシ拭き取る。
アセトン入り除光液、洗濯洗剤、歯ブラシ、濡らした布、(メラミンスポンジ、カッター、スクレーパー)
アセトン入りは、刺激臭が強く皮膚や爪から油分を奪う特徴があります。
爪のダメージ(二枚爪や割れ爪)に注意すること。
- 除光液をコットンに染み込ませる。汚れた部分を叩く。
- 洗濯洗剤をつけ、歯ブラシで優しく擦る。
- 濡れた布で洗剤を拭き取る。
- 除光液を壁紙に使うときは十分に注意すること。
- なかなか頑固な場合は、メラミンスポンジで擦ったり、カッターやスクレーパーなどで慎重に削る。
「パレット」についてる水彩絵の具の落とし方

ここでは、場面に応じたパレットの掃除方法を紹介します。
「学校の授業」で一斉に洗う方法
学校の授業でパレットを洗うときは、
最初にティッシュで拭き取らせる。
水がもったいないので、
バケツに水を張って何枚か一緒に浸して洗います。
その後流水で軽く洗って水を節約します。
少し塊かけた絵の具があるときは、
パレット全体をぬるま湯に浸し、絵の具がふやけるのを待ちます。
🤡 重曹を少し入れるとさらに落ちやすいよ。
その後、スポンジでやさしく擦ると良いでしょう。
スペースの角は筆で擦れば落ちます。

洗い終わったら、しっかり水気を拭き取って乾燥させてね!
「プラスチック消しゴム」で落とす方法
パレットを洗っても染み込んでいる水彩絵の具は、
プラスチック消しゴムで消せば落ちます。



水彩絵の具の落とし方:モチモチまとめ

頻繁に使うアイテム・用途の要点をまとめました。

これを見れば一目瞭然!ほめてあげてくださいね。
いろんな所についた水彩絵の具の落とし方

可愛いし、努力家でえらいのう。
| モチモチまとめ | 絵の具がついてすぐの落とし方 | 絵の具がついて時間が経った落とし方 |
| 手 | 石鹸をつけて流水で洗う。 | しつこい汚れは歯磨きををつけて洗い落とす |
| 服、布地 | 流水で裏から押し出す→中性洗剤を塗る→歯ブラシで叩く→モミモミ→洗濯機で早めに対処する。 | 重曹+酸素系漂白剤(1:1)→10分〜20分放置→モミモミ→洗濯機で頑張ってみる。 |
| 机や床、壁 | 濡らした布で拭き取る。 | 濡らした布で拭き取る。 |
| パレット | 水、スポンジ、筆などで洗う。 | 重曹を入れた水に浸してからスポンジや筆で洗う。 |
頻繁に使う水彩絵の具落とし
おすすめアイテム

| アイテム | 用 途 | おすすめポイント |
| 石鹸・ハンドソープ | 手・衣服 | 軽めの汚れ落とし |
| 歯磨き粉 | 手 | 研磨剤効果で頑固汚れ対策 |
| 重曹 | 衣服・パレット | 自然派で万能 時間が経って乾燥した汚れに強い |
| 酸素系漂白剤 | 衣服 | 時間が経って乾燥した汚れに強い |
| スポンジ・雑巾 | パレット・机・床・壁 | 広範囲の掃除に便利 |

絵もたくさん描きますので、先生方見てくださいね。
最初から汚さないための工夫を!
汚してから元に戻すのはとても大変ですね。
であるならば、最初から汚さないために工夫できることも考えましょう。

| しずくまとめ | 水彩絵の具 | アクリル絵の具 |
| 小学生下級学年 | 紙皿を使う お盆にラップを巻いて使う プラスチックパレットを使う |
使わない |
| 小学生上級学年 | プラスチックパレットを使う | 使わない |
| 中学生以上 | プラスチックパレットを使う 固形絵の具にして使う 紙パレットを使う |
紙パレットを使う パレットにラップを巻いて使う |
まとめ:
楽しく心を込めて水彩画を描こう!

水彩絵の具の汚れは、正しい知識と道具があればほぼ落とせます。
この記事を読んでみて、
① 手についた水彩絵の具の落とし方、
② 服、布地についた水彩絵の具の落とし方、
③ 床、壁についた水彩絵の具の落とし方、
④ パレットについた水彩絵の具の落とし方、
など、知っておくと役立つ情報を手に入れることができましたか。
汚れてしまったら、今回紹介した方法をぜひ実践してみてください。
ところで、
現代はゲームに始まり、AIの発達でコンピュータに支配される時代に突入しました。
人間である皆さんには、デジタル世界から目を離し、
実際に筆を持ち、紙肌に触れ、自分の感情を込めて絵を描いてほしいです!!!!!
そして、手を汚し、服を汚し、パレットや机を汚して、
「やっちまった~!」という心の叫びと共に絵を描く楽しみに触れてほしいです。
子供のうちに指先に触れる絵の具は、
独自の表現を模索し、失敗や成功の体験を繰り返します。
そして、その行為は手指の感覚を鍛え想像力を育みます。
絵を描く行為は、デジタルゲームでは得ることができない直接的な体感トレーニングです。
親子でもたくさん絵を描いてくださいね〜!!!
ただし、汚れ落としは準備万端に。
いつでもこの記事に戻ってきて、復習していただけたらありがたく思います。。

その他にも、アクリル画や油彩画、漫画、イラスト、切り絵、デッサンなど、美術全般の指導書としてもやさしくていねいに学べるHPですぴー。
ぜひ別の記事でも楽しく学んでいただければと思いますぴー。
おまけ:江戸時代の洗濯洗剤


下の栓を抜くとアルカリ性の灰汁(あく)が出てくる。
木綿の洗濯は、その灰汁を使って洗濯をしたんだよ。


無患子(むくろじ)やエゴノキの果皮、
サイカチの鞘(さや)などを揉み洗いに使ったんだよ。
軽い汚れ落としには、
米のとぎ汁などがよく使われました。
このように、
江戸時代の人々は汚れの種類や衣類の素材に応じて、
身近な自然素材を使い分ける知恵を持っていたのです。


私も掃除好きになるぞ〜!
錦絵とは、1765年ごろ鈴木春信さんによって完成された多色刷り浮世絵版画です。
それまでは紅基調の「紅摺絵(べにずりえ)」でした。














