絵手紙の描き方【初心者向け】水彩で楽しむ夏の絵手紙入門

水彩で夏の絵手紙を楽しむ初心者向けアイキャッチイラスト
水彩絵の具を使えば、スイカや朝顔、金魚などの夏らしいモチーフで、初心者でも楽しく絵手紙を描けます。

絵手紙を描いてみたいけれど、

「専門的な顔彩を買わないといけないのかな?」
「子どもが学校で使っている水彩絵の具でも描けるのかな?」

と迷っていませんか。

こんにちは。画家のマキノロランです。

結論から言うと、絵手紙は透明水彩でも楽しく描けます。

むしろ、
夏の絵手紙には透明水彩がとてもよく合います。

スイカの果汁、トマトのみずみずしさ、
かき氷の透明感、ガラスのコップに入った麦茶の光。

こうした
夏らしいモチーフは、
透明水彩の「水の力」と「紙の白」を活かすことで、
涼しげに表現できます。

絵手紙は、上手な絵を見せるためのものではありません。

季節のものを見て、感じたことを、
絵と言葉で相手に届ける小さな手紙です。

この記事では、透明水彩初心者の方や
小中学生でも取り組みやすいように、

  • 透明水彩で夏の絵手紙を描く基本
  • よくある失敗の防ぎ方

をやさしく紹介します。

「絵心がないから……」と諦める必要はありません。

眠っている水彩絵の具を使って、
大切な方のために、世界に一枚だけの
心のこもった手書きの一枚を届けてみましょう。

Ronron
この記事は少し長めですが、
最初から全部読まなくても大丈夫です。
すぐに描きたい方は、
「透明水彩で夏の絵手紙を描く手順」から読んでみてください。
ベル先生
道具や紙に迷っている方は、
「絵手紙に使う道具」
「紙選びで絵手紙の雰囲気は変わる」
を先に読むと分かりやすいですよ。

絵手紙は水彩絵の具でも描ける?
初心者の疑問に答えます

まずは、絵手紙に興味を持ったばかりの方が抱きやすい、
「5つの疑問」にお答えします。

それぞれの詳しい描き方や道具については、記事の後半で紹介します。

まずは、
ご自分の悩みに当てはまる質問から読んで、
解決のきっかけにしていただけたら嬉しく思います。

Q1. 絵手紙は水彩絵の具でも描けますか?

はい、描けます。

一般的に絵手紙では、
「顔彩」という日本画系の絵の具がよく使われます。

しかし、必ず顔彩を使わなければならないという決まりはありません。

透明水彩絵の具や、
学校で使う水彩絵の具でも、
絵手紙を描くことができます。

「家にある水彩絵の具で描いてもいいのかな?」
「子どもが学校で使っている絵の具でも大丈夫かな?」

と迷う方も多いと思います。

私も絵手紙を描き始めた頃は、
学校で使っていた水彩絵の具を使っていました。

現在でも、
画仙紙はがきに絵手紙らしいにじみを出したいときや、
顔彩ならではの落ち着いた色合いを生かしたいときに、画材を使い分けています。

透明水彩は、水の量を工夫することで、
光が透き通るような鮮やかさや、
やわらかなグラデーションを表現しやすい絵の具です。

最初から新しい画材をすべてそろえなくても大丈夫です。
まずは、家にある使い慣れた水彩セットで、気軽に始めてみましょう。

Ronron
この記事の後半では、
透明水彩で失敗しにくい水の量、色の重ね方、
輪郭線がにじみにくくなる工夫も紹介します。
Q2. 絵が下手でも絵手紙を描いていいですか?

もちろんです。

私が尊敬する画家・熊谷守一には、
『へたも絵のうち』という題名の著書があります。
私は、この言葉に触れるたびに、
絵の魅力は技術的な上手さだけで決まるものではないと感じます。

絵手紙も、上手な絵を見せることより、
相手へ気持ちを届けるためのものです。

「絵心がないから恥ずかしい」
「人に見せられるような絵にならない」

そう感じる方もいると思います。

私が中学校で美術を教えていた頃、
絵手紙を題材にすると、
「もっと上手に見せたい」と思うあまり、
線を何度も直したり、色を重ねすぎたりする生徒がいました。

そんなときは、
「絵手紙では、整いすぎた絵よりも、
気持ちがにじみ出ている一枚のほうが、
心に残ることもあるんだよ」
と話していました。

形が少しくらいゆがんでも、線がふるえても大丈夫です。

むしろ、
その少しふるえた線や不ぞろいな形の中に、
描いた人らしい温かみや味が現れます。

Ronron
夏のスイカやトマト、朝顔などは、
画面からはみ出しそうなくらい大きく、
のびのびと描くだけでも、楽しい一枚になりますよ。

Q3. 絵手紙にはどのような紙を使えばいいですか?

どのような雰囲気に仕上げたいかによって、紙を選ぶとよいでしょう。

絵手紙らしい
大胆なにじみを楽しみたい場合は、
画仙紙はがき

透明水彩の色やぼかしを
ある程度コントロールしたい場合は、
水彩紙はがきがおすすめです。

紙の種類によって、
水や絵の具の広がり方はかなり異なります。

画仙紙は水をよく吸い込むため、
描いている間に、思っていた以上に
色がぼんやりと広がることがあります。

私も、
紙の吸い込み方を考えずに水を多く使い、
描きたかった形がどんどん広がってしまった経験があります。

それも画仙紙らしい味になりますが、
初めて描く方にとっては、扱いにくく感じるかもしれません。

Ronron
まずは安心して水彩絵の具を試したいという方は、

水彩紙はがきや、水に強い厚めのはがきから始めると安心です。

Q4. 夏の絵手紙には何を描けばいいですか?

身の回りにある、夏を感じるものなら何でも大丈夫です。

真っ赤なトマト、冷えたスイカ、
庭に咲いた朝顔はもちろん、
おやつに食べたアイスキャンディーや、
冷たい麦茶の入ったグラスなども、立派なモチーフになります。

「何を描けばよいのか分からない」
と迷ったときは、
遠くへ題材を探しに行く必要はありません。

台所にある野菜を見て、
「ああ、夏が来たなあ」

食卓に並んだ果物を見て、
「みずみずしくておいしそうだなあ」

庭や道端に咲く花を見て、
「今日も元気に咲いているね」

そのように、
自分の心が少し動いたものを選んでみましょう。

そして、そのときに感じたことを、
短い言葉にして絵のそばへ添えてみます。

ベル先生
有名な観光地や特別な出来事でなくても、
いつもの暮らしの中で見つけた小さな夏が、心に残る絵手紙になりますね。

Q5. コンクールに出す絵手紙は、どのように描けばいいですか?

最初に、
応募するコンクールの募集要項を確認しましょう。

コンクールによって、

・作品のテーマ
・紙の大きさ
・使用できる画材
・作品に入れる言葉
・応募締切
・応募方法

などが決められている場合があります。

特に小中学生の方は、
おうちの方と一緒に確認すると安心です。

「コンクールに出す」と考えると、
急に上手な絵を描かなければならないような気がして、
緊張してしまうかもしれません。

私も、自分の作品を人に見てもらうときには、
「これで大丈夫だろうか」
と不安になることがあります。

しかし、絵手紙で大切なのは、
無理に上手に見せることではありません。
自分の目で見たものや、心で感じたことを、
自分の絵と言葉で素直に表すことが大切です。

きれいに整った絵でなくても、
そこに自分の発見や気持ちが込められていれば、
その一枚には、その人にしか表せない力があります。

募集要項を守ったうえで、
自分が「届けたい」と感じた夏の一場面を、
のびのびと描いてみましょう。

ベル先生
絵手紙は、絵と短い言葉を添えて送る、小さな手紙です。
上手に描くことよりも、目の前のものを見て、
「おいしそう」
「涼しそう」
「元気が出るな」
と感じた気持ちを届けることが大切なのですね。
モジャ先生
そうじゃ。
形が少しくらいゆがんでも、線がふるえても大丈夫じゃ。
その人にしか描けない線や形が、絵手紙の味になるのじゃよ。

わしはいつも手が震えておるよ、ホッホッホ。

なぜ夏の絵手紙に透明水彩がぴったりなの?

透明水彩で描く夏の絵手紙に向くモチーフの例
夏の絵手紙は、透明水彩の瑞々しさや光の表現と相性がよいモチーフがたくさんあります。

夏の絵手紙には、透明水彩がとてもよく合います。

理由は、透明水彩が

「水」
「紙の白」
「にじみやぼかし」

を活かして描く絵の具だからです。

スイカ、トマト、きゅうり、かき氷、麦茶、朝顔、金魚、風鈴……。

夏のモチーフには、
みずみずしさや光、涼しさを感じるものがたくさんあります。

ベル先生
透明水彩を使うと、そうした夏らしさを、やさしい色で表現しやすくなります。

透明水彩は「瑞々しさ」を出しやすい

透明水彩は、濃く塗りつぶすより、
水で少し薄めた色をのせたときに魅力が出ます。

たとえば、スイカの赤
ベタッと塗るよりも、
少し水を含ませて明るく塗ると、
果汁をたっぷり含んだような瑞々しさが出ます。

トマトの赤、きゅうりの緑、かき氷の淡い色も同じです。

透明水彩のやわらかい色は、
夏の食べ物や植物の「新鮮さ」を表すのに向いています。

絵手紙では、細かく描き込みすぎなくても大丈夫です。

「おいしそう」
「冷たそう」
「夏らしいな」

ベル先生
そう感じたところを、水彩の色で素直に表してみましょう。

紙の白を残すと、夏の光になる

透明水彩の絵手紙で紙の白を残して光を表す比較図
透明水彩では、塗り残した紙の白が、トマトのツヤや夏の光になります。

透明水彩では、

白い絵の具を上から塗るのではなく、
「紙の白をあえて塗り残す」ことで光を表現します。

  • スイカのハイライト
  • トマトのつや
  • ガラスコップの反射
  • 氷のキラッとした部分
モジャ先生
こうした明るいところは、
全部塗らずに、紙の白を少し残しておくときれいなのじゃ。

塗り残した白は、失敗ではありません。

透明水彩では、その白がまぶしい夏の光になります。

夏の絵手紙では、
「全部塗らないこと」も大切な表現テクニックです。

にじみやぼかしが、涼しさになる

透明水彩のにじみを活かした朝顔の絵手紙比較図
くっきり塗るだけでなく、にじみを活かすことで、朝顔の花びらに涼しさややわらかさが生まれます。

透明水彩には、
水を使う画材ならではの
「にじみ」や「ぼかし」があります。

このにじみやぼかしは、
夏の空気感を表すのにとても役立ちます。

特に絵手紙では、
細かく描き込むよりも、
水が自然に広がる「にじみ」を活かすと、
涼しげな印象になりやすいです。

朝顔の花びらなら、
中心から外側へ向かって、
青や紫をふんわり広げることができます。

金魚の尾びれなら、
線をくっきり描きすぎず、
水の中で揺れているように、
やわらかくにじませることができます。

風鈴の背景には、
淡い青や水色を軽く入れると、
涼しい風を感じる雰囲気になります。

入道雲の影や、
水たまりのゆらぎも、
透明水彩のにじみと相性がよい表現です。

絵手紙では、
にじみを完全にコントロールしようとしなくても大丈夫です。

少し広がった色。
偶然できた境目。
水が作ったやわらかい形。

そうしたものが、
絵手紙らしい味になります。

特に夏の絵手紙では、
きっちり塗るよりも、
少し余白を残しながら、
水彩のにじみやぼかしを活かす方が、
涼しげでやさしい印象になります。

「にじんでしまった」と思うところも、
見方を変えれば、
夏の空気や水のゆらぎに見えてきます。

ベル先生
水に少し任せることも、
透明水彩で夏の絵手紙を描く楽しさのひとつですね。

絵手紙に使う道具|家にある水彩セットでも始められます

ポメ子が、はがき・透明水彩絵の具・筆・水入れ・ティッシュや布・耐水ペン・筆ペン・墨・下敷き・消しゴム印など、絵手紙に使う道具を前にしてわくわくしている初心者向けイラスト
絵手紙は、
家にある水彩セットや身近な道具でも楽しく始められます。
まずは、はがき、絵の具、筆、水入れ、ティッシュや
布などを用意して、気軽に描いてみましょう。

絵手紙を始めるとき、

「専用の道具をそろえないと描けないのかな?」

と心配になる方もいるかもしれません。

もちろん、本格的な絵手紙では、
顔彩や墨、画仙紙はがきなどがよく使われます。

でも、最初からすべてを買いそろえる必要はありません。

私は、
家にある水彩絵の具、筆、はがき、ペンなどを使って、
絵手紙は十分に楽しめる
と思っています。

高価な道具でなくても、
身近な道具を使い、
目の前のものを見て、感じて、絵にする。

言葉を添えて、相手に届ける。
それができたら、もう花丸です

ベル先生
ここでは、透明水彩で夏の絵手紙を描くために使える道具を、
初心者の方にも分かりやすく紹介しますね。

顔彩がなくても大丈夫

顔彩・透明水彩・水彩色鉛筆で描いた朝顔の絵手紙を比較し、画材による雰囲気の違いを説明した初心者向け解説図
絵手紙は顔彩だけでなく、
透明水彩や水彩色鉛筆でも楽しめます。
顔彩は和風の味、透明水彩は涼しい透明感、
水彩色鉛筆は手軽でやさしい雰囲気が出しやすい画材です。

絵手紙というと、
顔彩で描くもの、というイメージを持つ方も多いと思います。

たしかに、
顔彩は絵手紙らしい落ち着いた色合いや、
和の雰囲気を出しやすい画材です。

墨の線と顔彩の組み合わせは、
昔ながらの絵手紙らしい味わいがあります。

でも、
顔彩がないからといって、
絵手紙が描けないわけではありません。

家にある透明水彩絵の具や、
水彩色鉛筆でも、
絵手紙は十分に楽しめます。

特に夏の絵手紙では、
透明水彩の明るさや透明感がよく生きます。

スイカの果汁、
トマトのつや、
朝顔の花びら、
かき氷の冷たさ。

こうした夏らしいモチーフは、
水を含んだ透明水彩の色と相性がよいのです。

私自身も、
「絵手紙だから必ず顔彩でなければいけない」
とは考えていません。

大切なのは、
画材の正解を探すことよりも、

自分が使いやすい道具で、
目の前のものをよく見て、
感じたことを絵と言葉にすることです。

使う画材によって、
絵手紙の雰囲気は少し変わります。

どれが正解というより、
「どんな雰囲気で描きたいか」
「どの道具なら描きやすいか」
で選ぶとよいと思います。

画材向いている雰囲気初心者へのおすすめ紙との相性
顔彩(がんさい)和風、落ち着き、絵手紙らしい味伝統的な絵手紙に挑戦したい人向け画仙紙はがきと相性がよい
透明水彩透明感、にじみ、ぼかし、涼しさ水彩の色や光を楽しみたい人向け水彩紙はがきがおすすめ。画仙紙ではにじみを楽しめる
水彩色鉛筆手軽、線と色を両方使える色塗りが苦手な人、細かく描きたい人向け水彩紙はがきと相性がよい

夏の絵手紙を透明水彩で描くなら、
まずは水彩紙はがきで試すと安心です。

画仙紙はがきに描く場合は、
水が広がりやすいので、
水の量を少し控えめにすると扱いやすくなります。

どの画材を使う場合でも、
最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。

まずは、家にある道具で一枚描いてみましょう。

輪郭線は筆でもペンでもOK|にじまない道具を選ぼう

絵手紙の輪郭線を、小筆と墨・耐水ペン・筆ペンで描き分けた比較図
輪郭線は、筆でもペンでもOKです。小筆と墨は味のある線、耐水ペンは安定した線、筆ペンは手軽に筆らしい線が出せます。
色を塗る前に、にじまないか試してみましょう。

絵手紙の輪郭線は、
必ずしも本格的な筆と墨で描かなければいけないわけではありません。

習字セットに入っている小筆や面相筆はもちろん、
筆ペン、耐水性のサインペン、ボールペンなどでも自由に描くことができます。

大切なのは、
あとから水彩で色を塗ったときに、
線がにじみすぎないことです。

墨で輪郭線を描く場合:

完全に乾かしてから色を塗ります。
乾く前に水彩をのせると、墨が広がって、
思ったより黒くにじんでしまうことがあります。

墨で描く場合は、
にじみにくいタイプの墨汁を選ぶと安心です。
たとえば
「サクラクレパスの清墨(きよずみ)」などがあります。

筆ペンを使う場合:

筆ペンには、水に溶けやすいものと、
乾くとにじみにくい耐水性のものがあります。

「耐水性」や「顔料インク」と書かれたものを選ぶと安心です。
筆ペンなら、「速乾ぺんてる筆 顔料インキ<中字>
のような顔料タイプを選ぶと安心です。

筆に慣れていない初心者さんの場合:

耐水性ミリペン、ピグメントライナー、
耐水性ゲルインクボールペンから始めても大丈夫です。

線が安定しやすく、
色を塗ってもにじみにくいので、
失敗が少なくなります。

水性ペンを使う場合:

「描く順番を逆にする」方法もあります。
先に鉛筆で軽く下描きをして、水彩で色を塗り、
しっかり乾いてから水性ペンで輪郭線を描きます

道 具向いている人使い方の注意
小筆と墨汁絵手紙らしい線を描きたい人完全に乾かしてから色を塗る
筆ペン筆らしい線を手軽に出したい人耐水性・顔料インクか確認する。衣服につくと落ちにくいので注意
耐水性ミリペン・耐水性ボールペン細い線を安定して描きたい初心者色を塗ってもにじみにくい
水性ペン家にあるペンで試したい人先に色を塗り、乾いてから最後に線を描く

絵手紙は、道具の正解を探すよりも、
「自分が描きやすい線」を見つけることが大切です。

まずは家にある道具で試して、
にじみ方や線の太さを比べてみましょう。

ると便利な道具

絵手紙で使うと便利な小物をまとめたチェックリスト図
ティッシュや下敷き、消しゴム印などを用意しておくと、絵手紙が描きやすくなります。

絵手紙は、
いくつかの小さな道具を横に用意しておくだけで、
失敗をグッと減らして快適に描けるようになります。

ここでは、
初心者の方ほど手元に置いておきたい、
頼れる小物を紹介します。

ティッシュや古布

筆に含ませすぎた水の量を整えるときに、
とても役立ちます。

筆をはがきに運ぶ前に、
筆先をティッシュに軽くトントンと当てる習慣をつけると、
水の量をコントロールしやすくなります。

下敷きやクリアファイル

はがきの下に敷いておくと、
机を汚さずに、安心してのびのびと描くことができます。

消しゴム印や手作りのサイン

絵手紙らしい仕上げに欠かせないのが
「印(いん)」です。

本格的な落款印がなくても、
名前の一文字を手描きで入れたり、
小さな手作り印を押したりする
だけで、
一枚の作品らしさが出ます。

大切なのは、
高価な道具をたくさん持つことではありません。

「水の量を整える布類」
「はがきの下に敷くもの」
「自分らしい印」

この3つを手元に置いておくだけで、
絵手紙はぐっと描きやすくなります。

紙選びで絵手紙の雰囲気は変わる

絵手紙に使う画仙紙はがき、水彩紙はがき、画用紙系はがきの比較図
私が現在使っている絵手紙用のはがきです。紙を変えると、にじみ・発色・描きやすさ・送りやすさが変わります。目的に合わせて選びましょう。

絵手紙は、
どんな紙に描くかによって、
仕上がりの雰囲気が大きく変わります。

画仙紙はがきなら、
墨のにじみやかすれが出やすく、
絵手紙らしい味わいになります。

水彩紙はがきなら、
透明水彩の色や光を活かしやすく、
スイカや朝顔、かき氷のような
夏のモチーフにも向いています。

画用紙系はがきや郵便はがきは、
手軽に始めたい方や、
夏休みに小中学生が取り組むときにも使いやすい紙です。

紙の名前だけで決めるよりも、
使う画材や、
相手にどう届けるかを考えると、
自分に合った紙が選びやすくなります。

紙は「使う画材」と「届け方」で選ぼう

絵手紙の紙を選ぶときは、
紙の名前だけで決めるよりも、

「何で描くのか」
「どんな雰囲気にしたいのか」
「どうやって相手に届けるのか」

を考えると選びやすくなります。

たとえば、
墨や顔彩を使って、
にじみやかすれを楽しみたいなら、
伝統的な「画仙紙はがき」が向いています。

透明水彩で、
スイカの光や朝顔の花びら、
かき氷の透明感を描きたいなら、
「水彩紙はがき」が扱いやすいです。

鉛筆やペン、水彩色鉛筆を使って、
気軽に描きたいなら、
「画用紙系のはがき」
も使いやすいでしょう。

また、
そのままポストに投函したい場合
は、
郵便はがきとして使えるサイズや厚さかどうかを確認しておくと安心です。

コンクールに出す場合は、
紙の大きさや画材が指定されていることもあります。

  • 「描きやすさ」
  • 「仕上がりの雰囲気」
  • 「送る方法」

この3つを考えて、
自分に合った紙を選んでいきましょう。

ペタ子ちゃん
次から、紙ごとの特徴を見ていきます。

画仙紙はがき|絵手紙らしいにじみとかすれを楽しむ紙

絵手紙らしい味わいを楽しみたい方に
よく使われているのが、

画仙紙はがきです。

画仙紙は、
墨のにじみやかすれ、
筆の勢いが出やすい紙です。

線が少しにじんだり、
ところどころかすれたりすることで、
手描きらしい温かみが生まれます。

顔彩との相性もよく、
落ち着いた和の雰囲気を出しやすいのが特徴です。

ただし、使うときには、
以下の2つの注意点があります。

画仙紙は水をよく吸い込む

水を多く含んだ筆で描くと、
思ったよりも色が大きく広がることがあります。

透明水彩で描く場合も、
水をたっぷり使いすぎると、
形がぼやけやすくなります。

画仙紙は消しゴムに弱い

画仙紙は消しゴムを強く使うと、
紙の表面が毛羽立ったり、
傷んだりしやすいです。

鉛筆でしっかり下書きをして、
あとからきれいに消したい方には、
少し扱いにくく感じるかもしれません。

反対に、

下書きをあまりせず、
その場の線やにじみを楽しみたい方には、

画仙紙はがきはとても魅力的な紙です。

画仙紙はがきにも、

  • にじみが強いもの
  • にじみが程よいもの
  • 発色が明るいもの

などがあります。

初心者の方は、
まずはパッケージに
「絵手紙用」
「にじみ程よい」
などと書かれたものから試すと安心です。

ベル先生
本格的に絵手紙らしさを味わいたい方には、
画仙紙はがきがおすすめです。

水彩紙はがき|透明水彩の色や光を楽しみたい人向き

透明水彩で絵手紙を描きたい方には、
水彩紙はがきが使いやすいです。

水彩紙は、
水や絵の具を受け止めるために作られた紙なので、
透明水彩の明るい発色や、
やわらかな重ね塗りを楽しみやすいのが特徴です。

画仙紙に比べると、
にじみが大きく広がりすぎにくく、
形や色を自分の手で整えやすいです。

トマトのつや、
スイカの果汁感、
朝顔の花びら、
かき氷やガラスの透明感
など、
夏らしいモチーフとも相性が良い紙です。

水彩紙はがきには、
木材パルプのものや、
コットン(綿)を含むものがあります。

最初から細かい違いにこだわりすぎなくても大丈夫です。

まずは、文房具店などで手に入る、
少し厚めの水彩紙はがきで一枚描いてみましょう。

透明水彩の色や光の楽しさを、
きっと感じられると思います。

画用紙系はがき・郵便はがき|気軽に始めたい人向き

「まずは家にあるもので描いてみたい」
「夏休みに、子どもと一緒に描いてみたい」

そんなときは、
画用紙系のはがきや
郵便はがき・私製はがきなどから始めても大丈夫です。

画用紙系のはがき

画用紙系のはがきは、
鉛筆、ペン、水彩色鉛筆などで描きやすく、
手軽に使える紙です。

学校の図工や美術の延長のような感覚で使えるので、
小中学生にも取り組みやすいと思います。

郵便はがき・私製はがき

郵便はがき・私製はがきは、
そのまま宛名を書いて送りやすいのが大きな利点です。

手元にあるはがきで、

すぐに一枚描ける気軽さがあります。

水の使いすぎには少しだけ注意

どちらの紙も手軽ですが、
水を多く使う水彩表現には、
あまり強くない場合があります。

水をたっぷり使うと、
紙が波打ったり、
反ったりすることがあります。

また、何度も色を重ねるうちに、
紙の表面が傷んで、
色がムラになることもあります。

そのため、
これらの紙で透明水彩を使うときは、
水を少し少なめにして、
軽く色をのせるくらいから始めると安心です。

ペンでしっかり線を描き、
水彩は色付けとして少しだけ添える。

そんな使い方なら、
気軽に絵手紙らしい一枚を楽しめます。

ベル先生
画用紙系はがきや郵便はがきは、
本格的な水彩表現というより、
気軽に絵手紙を楽しみたい人向きです。

まず一枚描いてみたい方には、
とても始めやすい紙ですよ。

大きさや形を変えると、夏の絵手紙はもっと楽しい

うちわ、しおり、ミニカード、丸い紙に描く夏の絵手紙アイデア
はがきサイズにこだわらず、うちわやしおり、ミニカードに描くと、夏らしい贈り物になります。

絵手紙というと、
はがきサイズを思い浮かべる方が多いと思います。

でも、少し縦長や横長の紙を使ったり、
画用紙を好きな形に切って使ったりすると、
楽しみ方がぐっと広がります。

夏なら、

うちわに朝顔を描く。

しおりに金魚を描く。

ミニカードにスイカを描く。

丸い紙にかき氷を描く。

形が変わるだけで、
同じモチーフでも印象が変わり、
季節感も出しやすくなります。

ただし、
定番のハガキサイズ以外のものを相手に届けるときは、

はがきとして送れるサイズか。
厚みや形に問題はないか。
切手はいくら必要か。

を確認しておくと安心です。

心配な時は、
封筒に入れて送るか、
郵便局で確認しましょう。

コンクールに出す場合も、
紙のサイズ、画材、応募方法等の募集要項を必ず確認してください。

ペタ子ちゃん
はがきサイズにこだわりすぎなくても大丈夫。

相手に届けたい気持ちや、
夏らしい楽しさに合わせて形を考えると、
絵手紙の世界を自由に広げられて楽しいですよ。

初心者はどの紙から始めると安心?

ここまでいろいろな紙を紹介してきましたが、
初めて絵手紙を描く方は、

「結局、どの紙を選べばいいのかな?」

と迷ってしまうかもしれませんね。

大きく考えると、
絵手紙の紙選びは、次のように整理できます。

使いたい画材・目的おすすめの紙 向いている人
顔彩や墨で絵手紙らしい味を出したい画仙紙はがきにじみやかすれを楽しみたい人
透明水彩で色や光をきれいに出したい水彩紙はがき夏の瑞々しさや透明感を描きたい人 
鉛筆・ペン・水彩色鉛筆で気軽に描きたい画用紙系はがき小中学生や、まず試したい人 
家にあるもので始めたい 郵便はがき水少なめで気軽に試したい人
うちわや変形カードに描きたい画用紙・水彩紙夏らしい贈り物にしたい人

水彩を楽しみたい初心者の方には、
私はまず水彩紙はがきをおすすめします。

理由は、
透明水彩の色が出しやすく、
水の広がりも画仙紙より扱いやすいから
です。

もちろん、
絵手紙らしい墨のにじみや、
偶然の味を楽しみたい方は、
画仙紙はがきから始めてもよいと思います。

最初から気負って、
完璧な紙を選ぼうとしすぎなくて大丈夫です。

ベル先生
まずは一種類だけ試してみましょう。

慣れてきたら、別の紙にも描いてみる。

そうやって比べていくと、
自分に合う紙が少しずつ見えてきますよ。

透明水彩で夏の絵手紙を描く手順

ここからは、
透明水彩を使って、
「夏の絵手紙」を描く基本の流れを見ていきましょう。

「うまく描けるかな……」
と難しく考えなくても大丈夫。

絵手紙で大切なのは、
きれいに仕上げることよりも、
目の前のモチーフをじっくり観察し、
感じたままを絵と言葉で表現する
ことです。

今回は、初めての方でも迷わず描けるよう、
以下の6つのステップで進めていきます。

  • ステップ1: 夏のモチーフをひとつ選ぶ
  • ステップ2: 輪郭線をゆっくり描く
  • ステップ3: 明るい色から透明水彩をのせる
  • ステップ4: 紙の白を残して、光や涼しさを出す
  • ステップ5: 短い言葉を入れる
  • ステップ6: 印やサインを入れて完成
透明水彩で夏の絵手紙を描く6つの手順をまとめた図
モチーフ選びから印やサインまで、
夏の絵手紙は6つの手順に分けると描きやすくなります。

小さなはがきサイズなら、
大きなキャンバスに向かうよりも、
ずっと気軽に挑戦できます。

ベル先生
失敗を怖がらずに、
まずは一枚、
お気に入りの夏のモチーフを選んで描いてみましょう。

夏のモチーフをひとつ選ぶ

まずは、絵手紙に描く夏のモチーフをひとつ選びましょう。

モチーフは、身近にある夏らしさを感じるもので十分です。

  • 食べ物・飲み物:
    スイカ、トマト、きゅうり、かき氷、麦茶のグラスなど
  • 植物・生き物:
    朝顔、ひまわり、金魚など

大切なのは、特別なものや立派なモチーフを探すことではありません。

「おいしそう」
「涼しそう」
「夏が来たな」
「あの人に届けたいな」

と、あなたの心が動いたものを選ぶことです。

初心者におすすめの選び方

初めて挑戦する方は、
「形が単純で、色がはっきりしているもの」

から始めると描きやすいです。

たとえば、
トマトやスイカは形がシンプルで色も鮮やかなので、
最初の一枚にぴったりです。

少し慣れてきて、
水彩特有の「にじみ」を楽しみたいときは、
朝顔や金魚に挑戦してみるのもおすすめです。

構図のちょっとしたコツ

モチーフが決まったら、
「はがきの中に少し大きめに入れる」
ことを意識してみましょう。

小さく収めてしまうと、
絵も言葉も少し寂しい印象になりがちです。

はがきから少しはみ出すくらいの気持ちで大胆に配置すると、
絵手紙らしい、のびのびとした味わいのある一枚に仕上がります。

輪郭線をゆっくり描く

モチーフが決まったら、
次は輪郭線を描いていきましょう。

絵手紙では、
整ったきれいな線を引こうとしなくても大丈夫です。

モチーフをじっくり見ながら、
ゆっくり引いた線には、
その人にしか出せない温かい「味」が生まれます。

透明水彩初心者におすすめの道具は「耐水ペン」

絵手紙の道具には、
いくつか種類があります。

  • 墨:
    絵手紙らしい味わい深い
    「にじみ」や「かすれ」が出せます。
  • 筆ペン:
    準備が簡単で、
    手軽に筆の雰囲気を楽しめます。
  • 耐水ペン:
     水に強いので、
    後から水彩絵の具を重ねても、
    線がにじみにくいです。

透明水彩で絵手紙を描く初心者の方には、
まず「耐水ペン」で描く方法がおすすめです。

透明水彩を重ねたときに黒い線が溶け出しにくく、
絵の具と混ざって黒っぽくなる失敗を防ぎやすいからです。

墨や普通の筆ペンを使う場合は、
線がしっかり乾いてから色を重ねましょう。

あわてて塗ると線がにじみ、
全体が黒っぽくなってしまうことがあります。

ベル先生が墨の筆で朝顔の輪郭線を描いているイラスト
輪郭線は、形を整えすぎず、モチーフをよく見ながらゆっくり描くと味わいが出ます。

線を描くときのアドバイス

線は一気に描こうとしなくて大丈夫です。

まずはモチーフの
「大きな形」
をよく観察してみましょう。

トマトなら丸い形
スイカなら三角の形
朝顔なら花びらの大きなひろがり

「そのものらしさ」が伝わる形を見つけたら、
焦らず、ゆっくりと線にしていきましょう。

モジャ先生
わしは1秒で1mmじゃな。10秒で1cm。
1分で6cmペースじゃ。ほっほっほ。

明るい色から透明水彩をのせる

輪郭線を描き終えたら
いよいよ透明水彩で色をのせていきましょう。

墨や筆ペンで輪郭を描いた場合は、
線がしっかり乾いてから色を重ねます。

色は、最初から濃く塗るよりも、
水で少し薄めた明るい色から始めると、
失敗しにくくなります。

透明水彩は、
薄い色を少しずつ重ねることで、
透明感のあるやわらかい深みが出る絵の具です。

モチーフ別・塗り方のイメージ

  • トマト:
    最初に明るい赤をふわっとのせ、
    乾いてから影になる部分に少し濃い赤を重ねます。
  • スイカ:
    果肉の明るい赤を塗ってから、
    皮の鮮やかな緑を少しずつ添えます。
  • 朝顔:
    中心の白を残しながら、
    青や紫を外側へ向かって広げ、
    涼しげな花びらにします。

ここで大切なのは、
「一度で完成させようとしないこと」
です。

色が足りないと感じたら、
しっかり乾いてからもう一度重ねれば大丈夫です。

透明水彩は、
少しずつ重ねる方が、
濁りにくく、明るい発色を保ちやすくなります。

初心者が失敗しない「水の量」のコツ

透明水彩でよくあるのが、
「水が多すぎて色が広がりすぎる」
「水が少なすぎてカサカサになる」
というお悩みです。

水の量を整えるコツは、
ティッシュや古布をそばに置いておくことです。

筆に水と絵の具を含ませたら、
いきなりはがきに塗らず、
まずパレットの端で色の濃さを確認します。

水が多いと感じたら、
筆先をティッシュに軽くトントンと当てて、
水気を少し整えてから塗り始めましょう。

ベル先生
このひと手間だけで、
水が多すぎる失敗を減らし、
ちょうど良い濃さに近づけやすくなりますよ。

紙の白を残して、光や涼しさを出す

透明水彩で夏らしい雰囲気を表現するときに、
とても大切なのが、
「紙の白を残すこと」
です。

透明水彩は、
白い絵の具を塗って光を描くというより、
あえて塗らずに残した
紙そのものの白を、
光として見せる画材です。

たとえば、
以下のような部分は全部塗りつぶさず、
ほんの少し白を残してみましょう。

トマト
つるんとした表面の「ツヤ」

スイカ
みずみずしい果汁の「光」

ガラスのコップ
冷たい飲み物の「反射」

かき氷
氷がキラッとする「輝き」

ほんの少し白を残すだけで、
絵の中に夏の明るい光や、
ひんやりとした涼しさが生まれます。

そして、
一気にみずみずしい印象になります。

塗り残しは「素敵な表現」のひとつ

初心者の方は、
「すみずみまで綺麗に塗らなきゃ……」
と思いがちです。

でも、絵手紙では、
あえて塗り残すことが、
表現の味わいになります。

もし、
「うっかり全体を塗りつぶしちゃった……」
という場合でも、
落ち込む必要はありません。

絵手紙は、
一枚で完璧を目指すものではなく、
描くたびに新しい発見を楽しめればそれで良しです

ベル先生
次はここを少し残してみようかな、と考えれば大丈夫です。
次の一枚へ、楽しく活かしていきましょう。

短い言葉を入れる

色が塗り終わったら、
絵のそばに短い言葉を入れていきましょう。

絵手紙では、
ふつうの手紙のように、
 長い文章を書く必要はありません。

むしろ、
心にパッと浮かんだ短い一言のほうが、
絵と引き立て合い、
相手の心にスッと届くことがあります。

夏の絵手紙に使える言葉の例

うまいことを言おうと構えなくても大丈夫です。
以下のような短い言葉で十分です。

  • 季節の挨拶:
    「夏ですね」「今年も暑いですね」
  • 相手への気遣い:
    「元気でね」
    「涼しさをどうぞ」
    「ひと休み」
  • 絵に添えるひと言:
    「よく冷えてます」
    「また会いたいね」

言葉選びのコツ

言葉を選ぶときは、
モチーフをじっくり見たときに感じた
「素直な気持ち」
から探してみるのがおすすめです。

  • スイカを見て
    「美味しそう!冷たそう!」
    と感じたら
     ➔ 「よく冷えてます」
  • 朝顔を見て
    「朝の空気が澄んでいて気持ちいいな」
    と感じたら
     ➔ 「涼しさをどうぞ」

このように、
 感じたことをそのまま言葉にしてみましょう。

飾らない自分の言葉で、
届けたい相手を思い浮かべながら
そっと書き添えることが、
絵手紙のいちばんの魅力になります。

文字を入れる位置

文字も絵の一部と考えて、
絵のすぐ横や余白の部分など、
全体のバランスを見て決めましょう。

ベル先生
絵の存在感と調和する場所に、
ていねいに読みやすく入れると、
きれいにまとまりますよ。

印やサインを入れて完成

最後に「印」や「サイン」を入れると、
画面が引き締まり、
絵手紙が一枚の作品としてまとまります。

絵手紙に印やサインを入れて仕上げている手元
最後に小さな印やサインを入れると、
絵手紙が一枚の作品として引き締まります。

本格的な落款(らっかん)印がなくても大丈夫です。

特別な印を持っていなくても、
身近なもので十分に
「自分らしさ」を表現できます。

例えば、

  • 名前の一文字を小さく書く
  • 赤いペンで小さな丸印を描く
  • 手作りの「消しゴムハンコ」を押す
  • アルファベットで小さなサインを入れる

こうした小さな仕上げだけでも、
絵手紙らしい雰囲気が出ます。

入れる場所は、
印も絵の一部と考えて、
絵や言葉とバランスの取れるところを選びましょう。

右下や左下などの小さな余白に入れると、
全体がすっきりと落ち着きます。

朱肉と紙の相性に注意しよう
乾いた画仙紙などは、
事務用スタンプ台を使うとかすれることがあります。


紙をほんの少し湿らせてから、

朱肉、印泥を使って、

ぐっと押すときれいに仕上がりやすくなります。

完成したら少し離れて眺めてみよう

仕上げが終わったら、
少し離れたところから作品全体を眺めてみてください。

絵、透明水彩の色、添えた言葉、
そして心地よい余白――。

そのすべてが合わさって、
世界にひとつだけの絵手紙が生まれます。

上手に描けたかどうかよりも、
「この一枚を誰かに届けたい」
と思えることが何より大切です。

ベル先生
絵手紙は、描いて終わりではありません。

相手を思い浮かべながら描いたその一枚を届けるところまでが、
絵手紙の本当の楽しさなのですよ。

【作例】夏の絵手紙モチーフ集|ひと言添えるだけで季節が届く

ここでは、完成した夏の絵手紙の作例を見ていきましょう。

前の章で紹介した、
「紙の白を残す」
「にじみを活かす」
「短い言葉を添える」
というポイントも、実際の作品で見るとイメージしやすくなります。

同じモチーフでも、
色の置き方や言葉の選び方によって、
絵手紙の印象は変わります。

気になる作例があったら、
まずは真似するつもりで一枚描いてみてください。

スイカ|白いすじを残すと瑞々しく見える

透明水彩で描いたスイカの夏の絵手紙
紙の白を残すことで、スイカのみずみずしさや夏らしい光を表現できます。

向いている表現:
みずみずしさ、赤と緑のはっきりした対比

添える言葉の例:
「よく冷えてます」
「甘い夏をどうぞ」

ひとことアドバイス:
 赤い果肉を全部塗りつぶさず、
種のまわりや果皮との境目に少しだけ紙の白を残すと、
果汁が光っているように見えます。

スイカは形も色も分かりやすいので、
初めての夏の絵手紙にもおすすめです。

トマト|ハイライトで新鮮に見せる

透明水彩で描いたトマトの夏の絵手紙
トマトは丸く整えすぎず、つやの白残しを入れると、新鮮で元気な印象になります。

向いている表現:
 つや・立体感、元気な色

添える言葉の例:
「太陽のめぐみだね」
「元気がでますように」

ひとことアドバイス:
トマトは、
きれいな丸に描こうとしなくても大丈夫です。

少しゆがんでいるくらいの方が、
手描きらしい味わいが出ます。

一番光が当たっている部分には、
白いハイライトを小さく残してみましょう。

赤い色の中に紙の白が少し入るだけで、
つるんとした新鮮なトマトらしさが出ます。

関連記事:水滴の描き方の記事も参考になります。
👉 透明水彩で水滴を描く方法|透明感の正体がわかる初心者レッスン

朝顔|花びらは中心を白く残してぼかす

透明水彩で描いた朝顔の絵手紙
朝顔は中心の白を残し、青や紫をふんわり広げると、涼しげな雰囲気になります。

向いている表現:
涼しげなにじみ、やわらかなグラデーション

添える言葉の例:
「涼を届ける」
「いい朝ですね」

ひとことアドバイス:
朝顔は、中心の白い部分を残しながら、
青や紫を外側へふわっと広げると、
涼しげな雰囲気になります。

花びらをきっちり塗り分けるよりも、
水を含ませた筆で少しにじませる方が、
朝の空気感が出しやすいです。

関連記事:にじみ、ぼかし、花の描き方の記事も参考になります。
👉【透明水彩】にじみの基本|初心者が最初に覚えたい水加減と紙選び
👉【透明水彩】ぼかしの描き方|グラデーションのコツと失敗しない水加減

金魚|尾びれは水でやわらかくにじませる

透明水彩で描いた金魚の夏の絵手紙
金魚の尾びれをやわらかくにじませると、水の中で揺れるような軽やかさが出ます。

向いている表現:
動き・やわらかさ、水の中の軽さ

添える言葉の例:
「ゆらり涼しく」
「すいすい泳いでいるね」

ひとことアドバイス:
 金魚は、尾びれを少し大きめに描くと、
絵手紙らしい動きが出ます。

赤やオレンジを強く塗りすぎず、
水を含ませた筆で外側へやわらかく広げると、
水の中でひらひら揺れているように見えます。

まわりに淡い水色を少し入れると、
涼しさも出しやすくなります。

関連記事:水の描き方や透明感の記事も参考になります。
👉 透明水彩で「水」の描き方|初心者でもできる透明感の出し方と3つの表現

かき氷|塗らない白で冷たさを出す

透明水彩で描いたかき氷の夏の絵手紙
かき氷は塗らない白を多めに残すことで、ひんやりした冷たさを表現できます。

向いている表現:
ひんやり感、白の残し方、ポップな色

添える言葉の例:
「ひんやりひと休み」
「何味がお好き?」

ひとことアドバイス:
かき氷は、
氷の白い部分をたくさん残すのがコツです。

全部に色を塗るより、
シロップの色を筆先でチョンチョンと置くくらいの方が、
冷たさが伝わりやすくなります。

赤ならいちご、
青ならブルーハワイ、
緑ならメロンのように、
色を変えるだけでも楽しい一枚になります。

風鈴|短冊を揺らして風を感じさせる

透明水彩で描いた風鈴とうちわの夏の絵手紙
風鈴やうちわは、淡い色と余白を活かすことで、涼しい風を感じる絵手紙になります。

向いている表現:
軽やかさ、季節感、余白を活かした表現

添える言葉の例:
「チリンと涼風」
「風が心地いい」

ひとことアドバイス:
風鈴は、
ガラス部分だけでなく、
下に揺れる短冊(たんざく)も大切です。

短冊を少し斜めに描いたり、
画面から少しはみ出すくらい大きく入れたりすると、
風が吹いているような動きが出ます。

透明感を出したいときは、
ガラス部分を塗りすぎず、
紙の白を多めに残しましょう。

初心者がつまずきやすい3つのポイント

透明水彩や絵手紙の初心者がつまずきやすい、乾くと色が薄く見える・水が多すぎる・墨が強すぎるという3つのポイントと解決方法を示した解説図

初心者がつまずきやすいポイントは、色の薄さ・水の量・墨線の強さです。
乾かして薄く重ねる、筆の水気を整える、
墨の濃さや線の太さを試すことで、絵手紙が描きやすくなります。

透明水彩で絵手紙を描いていると、
「あれ?」
と思うことがあります。

塗ったときはきれいだったのに、
乾いたら色が薄く見える。

水が多すぎて、
紙が波打ったり、色が広がりすぎたりする。

墨の線や文字が思ったより強く出て、
画面が重たく見える。

こうしたことは、
初心者だけでなく、
水彩に慣れている人でも起こります。

でも、原因と対策を知っておけば大丈夫です。

ここでは、
私自身が実際に夏の絵手紙を描いて感じたこともふまえて、
つまずきやすい3つのポイントを紹介します。

乾くと色が薄く見える

透明水彩は、
塗った直後の色よりも、
乾いたあとに少し明るく、薄く見えることがあります。

描いている途中は、
「ちょうどよい濃さになった」
と思っていても、

乾いてみると、
「あれ、少し物足りないかな?」
と感じることがあります。

これは透明水彩ではよくあることです。

解決策
一度で濃く仕上げようとせず、
まずは明るい色をのせます。

そして、
しっかり乾いてから、
必要なところに薄く重ね塗りしていきましょう。

乾かしてから重ねることで、
色がにごりにくく、
透明水彩らしい明るさを保ちやすくなります。

トマトの赤、
スイカの果肉、
朝顔の青や紫も、

一度で決めようとするより、
乾かしてから少しずつ重ねる方が、
きれいに深みを出しやすいです。

ベル先生
透明水彩は、乾いたあとに本当の色が見えてきます。
あわてて塗り足さず、
いったん乾かしてから見ることが大切ですよ。

水が多すぎて紙が波打つ・にじみすぎる

透明水彩は、
水を使うからこそ美しい画材です。

でも、
筆に水を含ませすぎると、
はがきが波打ったり、
色が思ったより広がったりすることがあります。

特に画仙紙はがきは、水を吸いやすい紙です。

ただし、
画仙紙といっても、
にじみ方は商品によって違います。

にじみが強いものもあれば、
にじみが少なめで描きやすいものもあります。

インクジェットプリンター対応の画仙紙はがきでは、
にじみが抑えられているものもあります。

そのため、
「画仙紙だから必ず大きくにじむ」
とは限りません。

描く前に、
予備のはがきや紙の端で、
水の広がり方を試しておくと安心です。

解決策
筆を洗ったあとや、
絵の具を含ませたあとは、
ティッシュや古布で筆の水気を少し整えましょう。

筆の根元まで水がたっぷり入っていると、
思った以上に水が紙へ流れてしまいます。

塗った色が広がりすぎたときは、
乾いた筆やティッシュの角で、
チョンと軽く水分を吸い取ります。

強くこすると紙が傷むので、
押さえるように吸い取るのがコツです。

想定外の広がりが出たとしても、
絵手紙では一つの味わいとして楽しめます。

紙が波打ってしまった場合は、
完全に乾いてから、
反対側へやさしく反らせると、
ある程度戻ることがあります。

それでも直りにくい場合は、
作品の状態を見ながら、
表と裏をほんの少し湿らせ、
平らな場所ではさんで重しをのせて乾かす方法もあります。

ただし、
水をかけすぎると絵の具や墨が動くことがあるので、
大切な作品では慎重に行いましょう。

墨の濃さや線の太さで印象が重くなる

絵手紙の墨の濃さと線の太さによる印象の違い
墨の濃さや線の太さが変わると、絵手紙全体の印象も変わります。
本番前に少し試しておくと安心です。

絵手紙では、
最初に描く輪郭線や文字が、
作品全体の印象を大きく左右します。

今回は私も墨汁で輪郭や文字を書きましたが、
墨の濃さはとても大事だと感じました。

墨が濃いと、線や文字に力が出ます。

一方で、
濃すぎる墨を太く入れすぎると、
透明水彩のやわらかい色よりも、
黒い線の印象が強くなりすぎることがあります。

反対に、
墨が薄すぎると、
絵手紙全体がぼんやり見えることもあります。

つまり、
墨の濃さと線の太さは、
セットで考えることが大切です。

濃い墨を使うなら、線は少し細めに。

淡い墨を使うなら、少しゆっくり太めに。

このように調整すると、
透明水彩の色と墨の線がなじみやすくなります。

解決策
いきなり本番のはがきに描かず、
同じ紙の端や別の紙に、
一度線を書いてみましょう。

濃い墨、
少し薄めた墨、
細い線、
太い線。

いくつか試してから本番に入ると、
作品全体の雰囲気を決めやすくなります。

文字を書くときも同じです。

強い言葉にしたいときは、
少し濃い墨でしっかり書く。

やさしい雰囲気にしたいときは、
少し淡い墨でゆっくり書く。

墨の濃さを選ぶことも、
絵手紙の表現のひとつです。

ベル先生
線や文字は、絵手紙の声のようなものです。
濃く、強く響かせるのか。
淡く、やさしく響かせるのか。
描く前に少し試してみると、自分らしい一枚に近づきますよ。

暑中見舞いやコンクールに出すときの注意

絵手紙を暑中見舞いやコンクールに出す前のチェックリスト図
絵手紙を送ったり応募したりする前に、切手・宛名・紙のサイズ・締切などを確認しておくと安心です。

完成した絵手紙は、
季節の便りとして送ったり、
コンクールに応募したりすることもできます。

出す前に少し確認しておくと、
安心して届けることができます。

暑中見舞い・残暑見舞いとして送る場合

夏の絵手紙は、
暑中見舞いや残暑見舞いとして送るのにもぴったりです。

暑中見舞いとして送る場合は、
一般的に、
梅雨明けごろから立秋前までが目安です。

立秋を過ぎてから送る場合は、
残暑見舞いとして送ることが多いです。

ただし、
地域や年によって季節感には違いがあります。

あまり難しく考えすぎず、
相手を思う気持ちを大切にしましょう。

郵送するときは、

  • 切手の料金は合っているか。
  • 宛名面は読みやすいか。
  • 紙の厚さや大きさに問題はないか。
  • 絵の具や墨はしっかり乾いているか。

このあたりを確認してから投函すると安心です。

心配なときは、
封筒に入れて送る方法もあります。

コンクールに出す場合は募集要項を確認しよう

絵手紙コンクールに出す前に募集要項の確認ポイントをまとめた図
コンクールに応募するときは、締切、サイズ、必要事項を中心に、
募集要項をしっかり確認しておきましょう。

小中学生の夏休み課題や、
地域の絵手紙コンクールに出す場合は、
必ず募集要項を確認しましょう。

特に大切なのは、次の点です。

  • 応募テーマに合っているか。
  • 紙のサイズは指定どおりか。
  • 使ってよい画材に合っているか。
  • 住所・氏名・学校名・学年などの記入欄は正しいか。
  • 応募方法は郵送か、学校提出か。
  • 締切に間に合うか。

また、
「消印有効」なのか、
「必着」なのかも確認しておきましょう。

コンクールによって、
使える画材や紙の大きさ、
応募方法が違うことがあります。

せっかく描いた作品が対象外にならないように、
描き始める前に一度確認しておくと安心です。

小中学生の方は、
コンクールに出す前に、
必ずおうちの人と一緒に募集要項を確認しましょう。

まとめ|一枚の絵手紙から、水彩のある暮らしを楽しもう

ポメ子さんとモップーたちが透明水彩で夏の絵手紙を楽しむイラスト
絵手紙は、上手に描くことよりも、季節を感じながら相手を思って描く時間そのものが魅力です。

透明水彩で描く夏の絵手紙は、
上手・下手に関係なく、
「相手を思う気持ち」
「季節を感じる心」
を形にできる、
温かい小さなアートです。

身近な夏のモチーフをひとつ選ぶ。

ゆっくり輪郭線を描く。

明るい色と紙の白を活かして、
やさしく色をのせる。

素直な言葉をひと言添える。

たったそれだけで、
世界にひとつだけの夏の便りが生まれます。

完璧を目指さなくて大丈夫です。

「あの人に届けたいな」
と思える気持ちを大切にしながら、

まずは一枚、
小さなはがきの上にあなたの夏を描いてみましょう。

透明水彩のやさしさに触れる時間が、
あなたの日常を少し豊かにしてくれるはずです。

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ピ太郎
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